ブルーハーツのベスト盤を聴いてると、合間合間に聴こえてくるのが、非常にがなったマーシーの声。
正直このがなったマーシーの歌い方は、決して万人受けするものでは無いですし、ヒロトの分かりやすい太い声がブルーハーツの入り口になったらば、マーシーの声は最初、雑音に聴こえてくることも。
僕自身も昔はそうで、マーシーボーカルの曲になると曲を飛ばすという、考えられない行為をしていました・・・。
しかし一瞬の出来事で、そこまで抵抗感を感じていたマーシーの声が、僕の中でこの世の誰の歌よりも好きな歌声に変わってしまったのです。
その後はマーシーソロを買い漁り、バンドの曲でもひたすら耳を凝らしてマーシーの声を聴くと言う、取り憑かれたような状態に・・・。(苦笑)
そこまで人を一変させてしまうマーシーソロの魅力を、少しでも多くの人に伝えられればということで、入口として聴いてみて欲しい5曲をピックアップしました。
騙されたと思い、まずは全て聴き通してみてもらいたいですね。
マーシーソロ入門の5曲
こんなもんじゃない
マーシーソロの全楽曲の中で、一聴して心を掴むキャッチーさがあるのは、個人的には「こんなもんじゃない」だと感じます。
歌詞もさることながら、アレンジも圧倒的に美しく、イントロのハープシコードの切ない音色で心が一気に持って行かれますね。
僕も初めて聴いた時はイントロで既に心を掴まれてしまいました・・・。
実在した犯罪者カップル『ボニーとクライド』をモチーフに、「自由と人生」をここまで具現化して言葉を書き上げられるのは、マーシー以外にはいないでしょう。
サビの「こんなもんじゃない」の繰り返しに、どれだけ心打たれることか。
ルーレット
冒頭でお話した、マーシーの歌声が大好きになったきっかけの一曲。
ヒロトマーシーのバンド系の音源を聴き尽くし、新しく聴くものが無いとなった状態で、「よく名盤と言われているから」という、なんとなくの理由で『夏のぬけがら』を入手。
一聴してピンと来なかったものの、繰り返し聴いていると、この曲のサビである次の一節が急に頭から離れなくなりました。
ルーレットが回るように毎日が過ぎていくんだ 何にどれだけ賭けようか「友達」今がその時だ
人生をルーレットに例えるのもさながら、「友達」になんとも切なさが押し寄せてきます・・・。
極端な繰り返しの言葉があるわけでは無いため、すぐに記憶に残らないかもしれませんが、聴き込むほどに良さを感じて貰えるはず。
空席
僕がマーシーソロで最も好きな一曲。
歌詞があまりにも難解なので、小難しさはあるものの、とにかくメロディーとハーモニカがキャッチー。
イントロで入って来る、空間を切り裂くようなハーモニカの音色に、一瞬で心を奪われた瞬間を、最初に聴いてから7年経った今も鮮明に覚えています。
4thアルバム『人にはそれぞれ事情がある』収録曲の中でも、突出した名曲であり、同アルバム内歌モノ1曲目で配置されていることからも、マーシー自身お気に入りであることが伺えますね。
色々と解釈のしようがありますが、『空席』という言葉のチョイスからして、もうマーシーの世界観が満載でたまりません・・・。
オーロラの夜
2ndアルバム『HAPPY SONGS』の冒頭を飾る一曲で、シングルカットもされたポップなナンバー。
「オーロラのように」という繰り返しの歌詞も覚えやすいですし、何より白井さんのピアノがとにかくキャッチー。
マーシーの好みを知り尽くしてる具合のフレージングとリズムが珠玉で、イントロで胸に突き刺さること間違いありません。
アンダルシアに憧れて
言わずもがなのマーシーソロのデビューシングルで、「マーシーソロと言えば」という文言で真っ先に名前の挙がる名曲。
とはいえ、同曲はマイナー調かつ、歌詞に合わせてスパニッシュなアレンジが施され、「知識0の状態でこの曲を聴いて、マーシーソロにハマるか」と聞かれると、個人的にはあまりそうと言えない気が・・・。
同じく『夏のぬけがら』収録曲である、「風のオートバイ」や「花小金井ブレイクダウン」の方がキャッチーな気はするものの、挙げておかなければならない曲かなと感じたので、ひとまず紹介した次第。
勿論このバージョンも良いのですが、正直最初はアレンジが異なる、ブレイカーズ時代の方が圧倒的にカッコ良いので、そちらを聴くのをオススメします。
「マーシーソロ入門の5曲」まとめ
サイトのアクセスなど数字を踏まえて見ても、残念ながらヒロトやブルーハーツetcのバンドと比べて人気が落ちてしまうマーシーソロ。
誰か一人にでもマーシーソロを聴くきっかけになればと思い、この切り口で筆を取った次第です。
僕自身がそうであったように、「酷い声で聴いてられない」とまで思っていても、何かが心に引っ掛かれば、そんな感覚は180度変わるもの。
その魅力に一度気付けば、今まで聴いてこなかった事がどれだけ損をしていたか分かりますし、マーシーの言葉の深みにハマっていくはず。
そして行く先は、マーシーがブルーハーツ以前に組んでいた天才集団のビートバンド『THE BREAKERS』に熱狂するはずですが、それは次の段階ということで、まずはマーシーソロをぜひ。
詩人・真島昌利の真に迫った声が、歌の中にありますよ。