DTMにこなれてくる頃に気になってくるのがモニタースピーカー。
「ずっとヘッドホンで作業をして来たけど、モニター環境をしっかりと整えたい」と考えるようになるのは、自然な流れに思えます。
しかしながら、他のDTM機材の例に漏れず、きちんと特性や選び方を把握しないと、誤ったチョイスをし兼ねない代物。
ということでこの記事では、モニタースピーカーについての基本的なところから、選び方まで詳しく解説していきたいと思います。
価格帯別に分けて商品も紹介していきますので、安い入門品を探している人から、一歩上のグレードを探している人まで、ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいですね。
そもそもモニタースピーカーとは?
「まずそもそもモニタースピーカーは、普通のスピーカーと何が違うの?」というところですが、端的に言うと、『味付けの無い素の音が鳴るスピーカー』です。
よくアマゾンや量販店で見かける安価なスピーカー、いわゆる「リスニング用スピーカー」は、聴いた際に迫力が出るように、過度に低音が協調されているなど、実はものすごく手を加えられた音しか出ないという。
DTMでリスニング用を用いると、当然ながら加工された音が出てくるため、全くもって使い物になりません。
実際にDTMに触れられている方なら分かりますが、ミックスではより良い音を作るため、微細な周波数域の調整にまで作業は及びます。
そうして自身で手を加えた音が、聴こえ方としてどうなるか確認するためのスピーカーであり、それが勝手に加工されるのであれば、当然目的は果たせませんよね。
そのため、「原音を忠実に再生する」という点に重きが置かれた、モニター用スピーカーが必要となって来るのです。
DTM用モニタースピーカーを選ぶポイント
価格
モニタースピーカーを選ぶポイントは多々ありますが、一番気になるのは価格でしょう。
正直ピンキリの世界で、高価なものは10万円をゆうに超える物もありますが、自宅で使う分にはそこまでのものはいらないかなと。
そこでページ後半では、ざっくりと「3万円以下」「3万円以上」に二分して見ていきたいと思いますので。
『プロを目指す』といったように、志が高い方は、後々後悔しないように「3万円以上」から選んでおきたいところ。
サイズ
次に気を付けたいのがスピーカーのサイズ。
当然に作業環境である机のサイズ感を考慮する必要がありますし、部屋の大きさも非常に重要。
というのも、大きなスピーカーであればあるほど、大きな音を出す前提での設計がされているので、小さな部屋で小さい音で出すのであれば、本来の力を全くもって発揮できません。
仮に性能が劣っても、小さい部屋なら小さいスピーカーの方が、鳴りがよくなるというのも、おさえておきたい知識。
アンプの有無
モニタースピーカーに限らず、スピーカー全般に言える事ですが、いわゆるスピーカーには「アンプ内蔵」と「アンプ非内蔵」の2種類があります。
一応簡単にアンプについて説明すると、「音を大きく増幅する機械」です。
つまりアンプ内蔵じゃないと、別途アンプを買うことになり、予算がさらに必要になるので、くれぐれも気を付けましょう。
アンプ内蔵のスピーカーは『パワードタイプ(アクティブスピーカー)』と呼ばれるので、参考までに。
ちなみに本記事で紹介するのは、すべてアンプ内蔵型。
周波数レンジの広さ
最後に大事な点が、スピーカーの再生帯域の周波数の広さ。
単純に高価なものほど、「広い帯域をクリアに再生できる」と言えますが、中程度の似たような価格帯でも、個々のスピーカーによって再生帯域の性能が違うので、注視したいところ。
近年の音楽はとくに低域を重視する傾向にありますし、現在の音楽界の主流とも言えるダンスミュージックでは、50Hz以下の超低域がものすごく重要。
鳴り音についてもメーカーによって違う部分もありますので、しっかりと好みの音が鳴るものを選びたいですね。
DTM用おすすめモニタースピーカー
ようやく本題ということで、おすすめのDTM用モニタースピーカーを紹介していきたいと思います。
先にも述べたように、3万円以下と以上で区切って紹介していきますね。
3万円以下
YAMAHA / HS5
タイプ | アクティブスピーカー |
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サイズ | 170x285x222mm |
出力 | LF45W/HF25W |
周波数特性 | 54Hz-30kHz |
ヤマハのド定番と言えるモニタースピーカー『HS5』。
3万円を切る低価格帯ながら、各種最新技術の搭載で、確かなクオリティを保っている一品です。
現にサウンドハウスのレビューでも、「この価格帯でここまでの性能はすごい」旨の意見が散見され、多くの人に受け入れられる代物であることが分かります。
細かい選び方もよく分からず、とりあえず安心して使えるものが欲しいという方であれば、とりあえずこれを選んでおくと間違いないのではないでしょうか。
JBL/ 305P MKII
タイプ | アクティブスピーカー |
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サイズ | 298 x 185 x 231mm |
出力 | HF 41W Class-D LF 41W Class-D" |
周波数特性 | (-10dB) 43Hz – 24kHz |
大人気の定番品の後継機として発売され、根強い人気を誇っているJBLの『305P MKII』。
広域のドライバー部の見た目が印象的で、光沢のあるスタイリッシュさに思わず目を奪われるほど。
もちろん性能の高さもお墨付きであり、繊細な音像のイメージングには定評があります。
レビューも多く信頼できる品ですし、安価なので手軽な一品として選択肢に入ってくるでしょう。
MACKIE / CR3
タイプ | アクティブスピーカー |
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サイズ | 208×140×158 |
出力 | 28W 50W |
周波数特性 | (-10dB) 70Hz – 20kHz |
1万円ちょっとと、逆に安すぎて心配になるレベルのMACKIEのモニタースピーカー。
緑のラインが個性的で目に映えますが、キャラが強いので受け付けない人もいるかも。
というか僕はこの派手派手しい見た目がちょっと苦手・・・(笑)
肝心の性能ですが、くっきりとした音像が魅力的であり、コスパを考えると非常に抜きん出たものがあります。
TASCAM / VL-S3
タイプ | アクティブスピーカー |
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サイズ | 110 (W)×170(H)×138(D) |
出力 | 14W+14W |
周波数特性 | 80Hz~22kHz |
こちらもぶっちぎりで安いタスカムのスピーカー。
低域が80Hzまでと非常に心もとないものの、使えればいいという感じであれば、気にしなくてもいいのかも。
必要十分な機能は揃えているので、ひとまず一台モニタースピーカーが欲しい場合は、チョイスしてもいいでしょう。
BEHRINGER/ MONITOR 1C
タイプ | アクティブスピーカー |
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サイズ | 15W×22.5H×14.2Dcm |
出力 | 100 W / IEC268-5 |
周波数特性 | 60Hz~23kHz |
なんでもいいからとにかく安いモノが良い、という人におすすめしたいモニタースピーカー。
尋常じゃないほどすべてが安いことで有名な『BEHRINGER』製ですが、あまり拘らず必要最低限の機能を求めるのならば、これほどうってつけのものはないでしょう。
僕も同社のダイナミックマイクをデモ録音用に使ってますが、耐久性も良く、質を求めない用途であれば、これほどコスパが良いものは無いなと、常々感じています。
3万円以上
IK MULTIMEDIA / iLoud Micro Monitor
タイプ | アクティブスピーカー |
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サイズ | 180mm×135mm×90mm(1個) |
出力 | 70W(ピーク)/50W(RMS) |
周波数特性 | (-10dB)45Hz~22kHz |
各種DTMソフト音源でお馴染み「IK MULTIMEDIA」ですが、実機にも非常に力を入れており、高クオリティの機器を扱っています。
『コンパクトながらプロ仕様のサウンドクオリティを実現』の売り文句は過言では無く、どんな状況でもフラットに鳴らしてくれる一品。
世界最小クラスの小ささでありながら、ここまでの音を実現する機種は他にはないでしょう。
小ぶりなサイズ感かつ手ごろで高位なスピーカーを探している場合は、これ一択ですね。
EVE AUDIO/ SC204
タイプ | アクティブスピーカー |
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サイズ | 145 x 230 x 195mm |
出力 | 100W |
周波数特性 | 64Hz – 21kHz(-3dB) |
モニタースピーカー界の重鎮とも言える『EVE AUDIO』はドイツのメーカーで、プロ御用達と言える最高品質の機器を多く作り出しています。
本機は同社の中では低価格帯ながら、上位クラスと同等の系譜が感じられる、非常に高い性能を誇る一品。
プロでも「自宅用ならこれ一択」と太鼓判を押す人もいるほどであり、この価格帯では信じられないほどの音を鳴らしてくれます。
僕も今自宅用でスピーカーを買うならば、間違いなくこちらの商品を選ぶと断言できますね。
ADAM AUDIO / A3X
タイプ | アクティブスピーカー |
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サイズ | 252mm(高) x150mm(幅)x185mm |
出力 | ウーファー 25W/40W peakツイーター 25W/40W peak |
周波数特性 | 60Hz ~ 50kHz |
イブオーディオの源流であり、世界中のスタジオでプロ御用達の『ADAM AUDIO』。
小型のモニタースピーカーの中では、抜群の周波数レンジの広さを持ち、とくに広域の伸びは本機でしか味わえないと言えるほど。
ハイレゾにも対応できるほどの性能ですし、本機で音楽制作に取り組んでいる方ならば、今一歩深い境地に連れて行ってくれる、心強い相棒になるでしょう。
メカニカルな見た目も、音楽好きをくすぐるものがあるのでは。
GENELEC / 8010AP
タイプ | アクティブスピーカー |
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サイズ | 121W×181H×114D |
出力 | 高域25W(8Ω)、低域25W(8Ω) |
周波数特性 | 74Hz~20kHz(±2.5dB) |
あの中田ヤスタカ氏も愛用していたことで知られる『GENELEC』のスピーカー。
プロが自宅用に導入することが多い機器であり、その音の良さは説明するまでもありません。
スイートスポットを狙える角度を付けられる台座、ふくよかで重厚な低音など、特徴を上げるとキリが無いほど。
丸みのある洗練されたデザインも個性的で、置いてあるだけで創作意欲が湧いてきそうですね。
ADAM AUDIO/ A5X
タイプ | アクティブスピーカー |
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サイズ | 280mm(高) x170mm(幅)x220mm(奥行) |
出力 | ウーファー 50W/75W peakツイーター 50W/75W peak |
周波数特性 | 50Hz ~ 50kHz |
最後は再びアダムオーディオで、先ほど紹介した「A3X」の上位種。
比較するとサイズ感が大きい分、より低域の再現性が広がり、重厚なモニター環境を整えたい場合にはうってつけ。
逆にその分大きな音を出さなければ、せっかくの特性を活かしきれないので、現状の環境にあわせて考えてみはどうでしょうか。
「DTM用おすすめモニタースピーカー【安いものから定番品まで紹介】」まとめ
以上、DTM用のおすすめモニタースピーカーを紹介してきました。
正直拘っていくと際限の無い世界ではありますが、少なくともスピーカーがあるのと無いのとでは、雲泥の差があるのは間違いありません。
とりあえずの1台であっても実際に買って使って貰えると、モニターの重要さが分かってくるはずですので、ぜひより良い音楽制作のために、財布の紐を緩めてみてはどうでしょうか。
投資となってダイレクトに、曲に深い輝きを与えてくれるはずですよ。
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