「マーシーがブルーハーツ以前に組んでいたバンド」として知られるブレイカーズ。
80年代の東京モッズシーンにおいては、先頭を走っていたと言えるほど、洗練されたビートバンドであり、界隈においても多大な人気を博していました。
そして仕方が無いことですが、後追いでブレイカーズに辿り着いた場合、僕もそうでしたが最初はどうしてもマーシーばかりに目が行ってしまうことに。
しかし、聴けば聴くほど、知れば知るほど、ブレイカーズというバンドこそ乱用されがちな「天才集団」という言葉が、しっくりくるバンドは無いと確信して来るのです。
今回の記事では、「もしブレイカーズがアルバムを出してデビューしていたら?」というテーマで、収録曲および曲順を妄想で考えていこうかなと。
題材が題材ゆえ、正解なんてありませんし、思いっきり主観が入ってきますがその点ご了承を。
なおブレイカーズの歴史感の上では、84年2月のリードギタリスト・おっちゃん脱退前後で二分されますが、「おっちゃんもいてこそのブレイカーズ」だと思えるので、その前提で考えていきますね。
ブレイカーズの空想デビューアルバム
A面
①BREAKERS STOMP!
一曲目に関しては異論の余地は無く、「BREAKERS STOMP!」以外はあり得ないでしょう。
ライブにおいても必ず1曲目に演奏されており、まさにブレイカーズの名刺代わりの曲のため、タイトルナンバーとしてもこれ以上しっくり来るものは無いですね。
ほぼ全員が歌う曲ということも、ブレイカーズが全員歌えるバンドということを印象付けるにもピッタリ。
②涙のCOOL DANCING
お蔵入りとなったシングルから引っ張られた形となりましたが、2曲目に「涙のCOOL DANCING」を持って来た恰好。
ライブでもわりかし冒頭の方で演奏されることが主であったため、この流れなら自然な感じなのでは。
カッコいいリフが映えるナンバーを2つ続けたところで、ブレイカーズの印象は決定付けられるはず。
③ダイヤルを廻すだけでいいのに
こちらもシングルから引っ張られた形となり、「ダイヤルを廻すだけでいいのに」を持って来ました。
ベース・太郎さんのボーカル曲へと移り変わり、ここから順にメインボーカルを回していく構成がいいのかなと。
実際ライブにおいても、一人が立て続けに歌うことは稀であり、基本回しているのがセトリから見て取れるので、この方がブレイカーズ的と思った次第。
④DOWN TOWN BOY
お次はドラマー・ヒコさんボーカルの言わずと知れた大名曲。
有名なホコ天映像のOP曲として知られていますが、ブレイカーズはわりかし甘い曲が多い中で、「DOWN TOWN BOY」からはムンムンなビート臭が漂ってきて、とにかくカッコ良い。
大袈裟では無く、日本屈指の歌えるドラマーだと常々感じますね。
⑤悲しみあふれでて
ここでようやくお待ちかね、おっちゃんボーカルの登場。
冒頭からフルスロットルで飛ばしてきた感があったので、しっとりとしたナンバーを挟んで流れを変えていくといったところ。
ミドルテンポなバラードナンバーで、これぞおっちゃんというような、切なげな感じが堪らないです。
⑥ママにさよなら
ブレイカーズ初期から演奏されているマッシーボーカルナンバーである「ママにさよなら」も外せないところ。
いかにもマーシーらしいポップなナンバーであり、初期ビートルズを感じさせるハーモニカが入ったアレンジも抜群にイカしています。
ブレイカーズ初期のマーシー曲では、唯一最後期まで演奏されていたナンバーであり、本人も気に入っていたことが伺えるので、入れない選択肢は無いでしょう。
⑦恋は今すぐ
A面ラストという立ち位置に持ってきたのは、おっちゃん曲においてのポップなモータウン調の稀代の名曲「恋は今すぐ」。
ブレイカーズにおける他のモータウン調な曲と言うと、「屋上の落伍者」なんかが挙げられますが、個人的にはこちらの方が遥かに大好き。
そのまんまアメリカンポップシーンに持って行ってもウケるんじゃないかというくらい、恐ろしいほどの完成度の曲であり、おっちゃんを天才と言わずとして、誰を天才と言うんだと思えてくるほど。
B面
⑧二人の合言葉
B面の冒頭に持ってきたのは「二人の合言葉」。
おっちゃん曲では恐らく一番人気の高いナンバーであろうし、実際おっちゃんが脱退したライブで最後に歌った曲。
歌詞の面でもとんでもなく美しい曲でありますが、曲作り的な面でも度肝を抜かされます。
やや理論的な話をすると、キーAにも関らず、4度のDから始まる上、最後は6度マイナーであるF#mで終わるという、衝撃の構成。
にも拘わらず超絶に耳残りがよく、歌詞の雰囲気にピッタリマッチしており、一体どうゆう発想のもとで作られたのか理解に苦しむほどの、完全なる天才の産物と言えますね。
「ブレイカーズで一番好きな曲は?」と聞かれれば、僕は迷うことなくこの曲を選びます。
⑨あの娘のイニシャル
一節によるとマッシーが中学生時代に書いた歌詞と言われる、ブレイカーズ屈指のラブソング。
デモは太郎さん、ライブではマーシーが歌ってますが、ここではマーシーボーカルとしてチョイスしてます。
「二人の合言葉」から始まり、B面冒頭はラブソングで固めていくのがいいかなと。
⑩窓に映ったシルエット
初演が84年のおっちゃん脱退後な気もしますが、細かい事は気にしないでおきましょう。
太郎さんボーカルのラブソングと言えば「窓に映ったシルエット」であり、悲し気な光景が浮かぶ歌詞が猛烈に切ない。
3曲続けてのラブソングの応酬は、夢見心地に連れて行ってくれますね。
⑪恋はおしまい
ラブソングの連続からの流れで歌われる「恋はおしまい」は、曲同士の整合性は無いものの、良さげな展開では。
「恋」と銘打たれている曲ではあるものの、「大人・権力」も暗喩しているのがこの曲の良さだったり。
僕がブレイカーズのマッシー曲で一番好きなのは断トツでこの曲で、コーラスワークの心地良さといいい、何度聞いても意識がフラつくくらいに最高。
サビのマイナーから入って一気にメジャーに行くところが、なんとも気持ち良い。
⑫フェアリーテール
アルバム終盤に近付きつつある中で、クールなヒコさん曲の登場。
イントロからもうカッコよすぎて即倒寸前ですし、「恋はおしまい」からの流れでアルバムラストに向けて盛り上がって行く感じが出るのでは。
⑬アンダルシアに憧れて
後年マーシーソロで取り上げられたことで、知名度が大いに飛躍している部分はあるにせよ、当時のライブ音源での観客の盛り上がりを聞いても、人気の高さを伺わせるマッシーボーカルの代表的な一曲。
当然ビートバンドのブレイカーズが演奏しているので、ソロとは異なり俄然ビートバンド感なアレンジで、こちらの方が圧倒的にカッコ良い。
⑭悲しきNO NO BOY
ラスト寸前というところに持ってきたのが、太郎さんボーカルの「悲しきNO NO BOY」。
「ダイヤルを廻すだけでいいのに」と同様に、曲の疾走感はありつつも切なげな感じが堪りません。
⑮BEATにしびれて
ライブのラスト・終盤に頻出するナンバーであるため、やはり最後は「BEATにしびれて」で終えないとしっくり来ないかなと。
何を思ったか、後年歌詞もアレンジも激変して「さすらいのニコチン野郎」になっちゃいますが、「BEATにしびれて」はこのままが良いですよねえ・・・。
『虹色の瞳の若者たちに捧げるナンバー』で締めくくられ、ビシッと終わる感じがします。
「もしブレイカーズがアルバムを出してデビューしていたら?」まとめ
主観も良いところでしたが、ブレイカーズの空想1stアルバムを考えてみました。
なおビートルズの1stアルバムに習い、14曲にするつもりでしたが、削るに削れず15曲になってしまったのは悪しからず。
通常、名曲というのは選び出す作業ですが、誇張では無くブレイカーズは全部名曲という次元なので、削る作業になっちゃうんですよね・・・。
しかも全員才気が溢れており、その辺のボーカル曲のバランス感も加味しなければならず、選ぶのは中々大変でしたね(汗)
今回紹介した曲はいずれもyoutubeにアップされてるので、あまりブレイカーズを聴いたことが無い方でも、ぜひ聴いてみて貰えると嬉しいです。