日本のロック界きっての詩人と言える、マーシーこと真島昌利。
その巧みな文学性は並み居る文豪に匹敵するレベルであり、言葉の洪水とでも言えるような、重く美しい言葉の数々で人々を虜にしてきました。
当然に多くのフォロワーを産んでいるワケですが、すぐに思いつくのは俗に言う『青春パンク』のバンドではないでしょうか。
しかし、パッと見で影響が分かるバンド群以外にも、マーシーに影響を受けたアーティストは山ほど存在。
今回はそんなマーシーの影響を受けたアーティストを紹介していきましょう。
意外な人もいたりしますので、マーシーの影響力の大きさがより理解できるはずですよ。
マーシーに影響を受けたアーティスト
草野マサムネ(スピッツ)
最初は言わずと知れた大人気バンド『スピッツ』のボーカル・草野マサムネ。
インディーズ時代にブルーハーツを見て音楽を辞めそうになったエピソードなど、何かとヒロトマーシー関連で名前を目にすることが多いですよね。
そんな草野氏ですが、マーシーソロ1st『夏のぬけがら』をこの世で一番好きなアルバムと豪語しており、大のマーシー好き。
同作を大学時代にヘビーローテーションしていたそうで、いかにマーシーソロに取り憑かれていたかよく分かります。
草野マサムネ (スピッツ)が選ぶ「20世紀、日本、ロック 」
真島昌利『夏のぬけがら』(大学時代のヘビーローテーションだった)
ブランキー・ジェット・シティ『LOVE~』(爆音で聴きたいアルバムNo.1)
ゼルダ『カルナヴァル』(「女ってワカンねー」と思いたい時にこれを。深い)— 渋谷陽一過去コメントbot (@sibuya69) May 16, 2017
ちなみに逆に3rdアルバム『RAW LIFE』時には「言葉が薄くなった~」と苦言を呈するコメントを寄せているなど、本音で感想を言うところにも非常に好感が持てるところ。
スピッツと言えば歌詞の面で取りだたされてる印象がありますが、草野氏の歌詞の根底には、マーシーの血が通っているのではないでしょうか。
森山直太朗
なんなら分かる人が見れば、すぐに分かるマーシーへのメッセージソング『ねぇ、マーシー』なんて曲も作っているほど。
「しゃがれた声」はそのまんまマーシーの歌声ですし、「ジャングルジム」はマーシー曲でしばしば使われるので、意図して単語を使ってますね。
他にも多数のインタビューで『夏のぬけがら』の話をしているなど、多大な影響を受けていることが分かるはず。
「デートで聴きたいドライブミュージック」というお題で、『ルーレット』を挙げているあたり、完全に玄人ですね。
桜井和寿(Mr.Children)
ミスチルとは異なる別バンド「BankBand」で『空席』『煙突のある街』『さよならビリーザキッド』をカバーしてるという。
先の2名が『夏のぬけがら』激推しだったのに対し、4thアルバム『人にはそれぞれ事情がある』収録の『空席』をカバーしてるのは非常に嬉しいところ。
動画も存在しますが、違法アップロードで直リンクが貼れないので、以下の検索からどうぞ。
amazarasi
無駄に明るいポップソングが溢れる中で、同氏の曲はひたすらに暗く、人間の暗部を掘り下げた深い精神性が見え隠れします。
代表曲である『僕が死のうと思ったのは』はyoutube上で200万回再生越えで、僕も初めてこの曲を聴いた時には、とてつもない衝撃を受けましたね。
前置きが長くなりましたが、同氏は中学生時代にブルーハーツのコピーバンドを組んでおり、とくにマーシーの詩がソロ作品も含めて好きであると言い切っているほど。
参考 amazarasiインタビューrooftop個人的には上記インタビューで「好きなアルバム・曲」など、突っ込んで欲しかったと思うところですが、話の軸から逸れるので致し方無し。
とはいえ、社会に対する見方、風景の切り取り方やドロドロとした部分などは、まさにマーシーに通ずる部分があり、絶大なる影響を受けているのがよく分かります。
マーシーソロが好きな方でしたら、気に入る可能性が高いので、ぜひ聴いてみて貰いたいですね。
横山健(Hi-STANDARD)
時折、雑誌での対談もするなど表だって繋がりが見える、かのハイスタのギターボーカル。
個人的にはハイロウズの頃に、二人が初めて対面した際のインタビューが非常に興味深かったです。
というのも、ハイスタと言えば英詩しか歌わないですが、マーシーに影響されて「中原中也・ケルアック」などなど、色んな詩人を読み漁っていたという点。
インタビュー内で同氏は、マーシーに「分析くん」としきりに突っ込まれていることから考えても、本当に好きだからこそ、同じレベルで日本語を書けないと感じ、計略的に英語で歌っていたのではと思うところ。
スピッツの有名なエピソードとして「ブルーハーツを聴いて、同じジャンルじゃ勝てないから方向転換した」といったものがありますが、推測の域を出ませんが、恐らくそれと同じような考えだったのでは。
竹原ピストル
今や国民的シンガーソングライターとなった「竹原ピストル」。
インターネット隆盛のご時世に、ひたすら土着的なライブ周りを全国で続け、30を超えて大衆的な人気を得たサクセスストーリーには胸を打たれるものが。
目につくような影響を受けた発言などは見られませんが、『TOO MUCH PAIN』をカバーしているなど、確たる影響が見られるところ。
代表曲と言えば『よー、そこの若いの』ですが、Bメロの「例えば~」からのくだりが本当に素晴らしい。
昨今は「社畜」だの煽るような言葉が散見されますが、そんなものを吹き飛ばすような、真に迫った心からの言葉が感じられます。
どちらかと言うと、マーシーソロというよりはブルーハーツ的な側面から影響を受けていそうですね。
「意外と知られていない!?マーシーに影響を受けたアーティスト」まとめ
ということで、ザザッとアーティストを紹介して来ました。
僕自身、それぞれのアーティストをヒロトマーシーと同じ次元で掘り下げているワケでは無かったので、多少拡大的な解釈があるかも知れませんが悪しからず。
6名ほど挙げて来ましたが、直接・間接問わず、広い意味で考えれば大半のアーティストは大なり小なりブルーハーツ、もといマーシーの影響は受けているでしょう。
その範囲もインディーズアーティストまで含めると、星の数ほど存在するのは明白。
とはいえ、影響を受けたからと言って、誰しも同じ次元で人に刺さる言葉を描けるとは限りませんし、そうした意味ではジャンルの違いはあれど、今回紹介した方々はきちんとした人気を得ています。
アウトプットの形は異なっても、大衆性を得ていることは認められている証明ですし、「どんな風に影響を受けたのかな?」と考えながら曲を聴いてみるのも楽しいものですよ。