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リスナーも覚えておきたい、別バージョン・リミックス・リマスターの違い

スズキサトシ(@sasa_rhythm)です!

 

CDやレコードの曲目を目にすると、括弧つきで「Altnative」「re-mix」、「Remaster」の文字をよく見るはず。

 

ヒロトマーシー関係だと、ブルーハーツでは「夜の盗賊団 (Alternative ver.)」「俺は俺の死を死にたい (Alternative version)」「TOO MUCH PAIN (Re-mix ver.)」、ハイロウズでは「迷路(Nancy Mix)」などが。

 

リマスターはよくブルーハーツ音源で見受けられますね。

そして、これらの名称が、いわゆる「別バージョン」を指していると何となくは思っていても、具体的に何が違うか実際に理解している人は少ないと思います。

 

リスナー側であっても、名称の指しているもの、具体的に何が違うのか分かっている方が、断然聴く分にも楽しめるのは間違いないので、今回はその違いについて分かりやすく解説していきますね。

 

ぜひ、一段階上の音楽リスナーになってみんなに自慢しましょう!

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録音してからCDになるまで

用語の説明に入るにあたっては、先にCDになるまでの流れを理解する必要があります。

 

ということで、図を用いてざっくり説明していきましょう。

厳密に言うともっと細かい説明が必要ですが、話をややこしくしたくないので、ざっくりとこんな感じ。

 

つまり普段聴いているようなCDになるまでには、大きく分けて三段階必要ということになります。

 

これを踏まえた上で、名称の説明に入っていきましょう。

別バージョン(Alternative ver)とは

「夜の盗賊団」、「俺は俺の死を死にたい」などで見受けられた「Alternative ver」ですが、和訳すると別バージョンと言った意味に。

 

これは先ほどの図で言うところの①の時点での違い、すなわち録音の時点から違っているということ。

 

懇切丁寧に和訳すると「Alternative ver=元のバージョンと録音段階から違う音源」という意味になります。

 

後述するリミックスをこのような意味合いと誤認している人も結構多いですので、気を付けたいところ。

 

実際に聴いてもらえば分かりますが、「夜の盗賊団(Alternative ver)」は明らかに『DUG OUT』収録のものとは別なことが分かります。

「俺は俺の死を死にたい(Alternative ver)」も、デモを元に作ったバージョンとなってますので、『STICK OUT』収録のバージョンとは異なり、『Alternative ver』という名前が適切。

 

ブルーハーツ以降は特段『Alternative ver』の記載がありませんが、シングルとアルバムで別テイクで録音している、クロマニヨンズの「タリホー」や「エイトビート」なんかは、そういった意味では『Alternative ver』と言っても差し支えありませんね。

リミックス(re-mix)とは

おそらく一番聞き覚えの多いリミックス。

 

これは先の図で言うところの、②の時点での違いです。

 

すなわち、録音した音自体は一緒ですが、その後の加工が違うという意味合い。

 

「加工って誰がやっても同じになるんじゃないの?」と思った人もいるかもしれませんが、ところがどっこい、仮にアーティスト側が同じ注文をしたとしても、人によって全く違う仕上がりになります。

 

というのも、ミックスは特にエンジニアの人の音の好みや、センスの部分が強く影響するもの。

 

分かりやすいところで言うと「ボーカル加工」。

 

例えば、ブルーハーツの「手紙」のボーカルはかなり強い加工がかかっています。

 

曲調に合わせてあの加工を用いることにしたのはエンジニアのセンスですし、加工のかかり具合の調整なんて、まさにその人次第。

 

ちなみによくアイドルの下手なボーカルをCDでは直してるというのは、聴いたことがあると思いますが、そうした修正もミックスの段階で行われます。

 

今は分かりやすいところでボーカルを例に出しましたが、当然、各楽器ごとに様々な音色に加工できるわけで、無限のパターンが有りうるのは容易に想像できるはず。

 

つまり、「TOO MUCH PAIN (Re-mix ver.)」なんかは、聴くと全く違う印象を受けますが、実は録音した音自体は一緒で、その後の加工が違うに過ぎないのです。

 

HIGH KICKS』収録のバージョンと、同じ録音物であることを前提として聴き比べていただくと、いかにミックスが楽曲に大きな影響を及ぼすか、よく理解できるはず。

逆に言うと、ミックスが悪いとせっかく曲が良くても台無しになるわけで、ゆえに実績のあるエンジニアにアーティストは依頼するワケです。

 

日本の著名なエンジニアとしては、ブルーハーツの1stアルバムのミックスを手がけた「山口州治」さんが代表的。

参考 山口州治

それでもってハイロウズ時代によくあった「Nancy Mix」とは、『ナンシーがミックスしましたよ』ということ。

ナンシーとはレコーディングエンジニアの南石さんのことで、『セクシーナンシーモーニングララバイ』で無理やりボーカルをさせられた人、と言えば皆さんご存知のはず。

 

つまりアルバム収録バージョンは別の人がミックスしており、それとは別で南石さんがミックスしたものを、「Nancy Mix」という名称を付けて、区分していたのです。

 

こちらも改めて聴き比べて頂くと、音色の違いが分かるはずですよ。

リマスター(re-master)とは

「マスタリングをし直した」という意味の言葉になりますが、一番説明しにくいのがこのマスタリング。

 

先の図にもあったように、CDにするための最終調整の段階で、細かく言うと色々な作業があります。

 

分かりやすいところでは、例えばアルバムに収録される曲を、全体として統一感が出るように、音量を調整したり、曲どおしの音合いを馴染ませたりといった作業があります。

 

「仕上げだから最後のオマケなの?」と思うかもしれませんが、ミックスと同様にマスタリングもエンジニア個人の色が出る部分であり、相応のクオリティとなると一朝一夕で身に付くものではありません。

 

そのためハイロウズ時代は、ストーンズやブルース・スプリングスティーンのマスタリングも手がけた、アメリカのボブ・ラディックという著名なエンジニアにマスタリングを依頼しており、わざわざ海外まで行っているワケです。

 

しかし個人的には『ロブスター』『マスタング』あたりが聴いてて耳が痛くなるレベルで音圧が高いため、あまり好きなマスタリングでは無いのですが・・・

 

この辺の音圧の話はまた別の記事にしたいと思いますので、お楽しみに。

 

話を戻しまして、リマスターは正直楽曲制作に携わる側の人でなければ、違いが分かる人は少ないはず。

 

というのも、先のリミックス違いは誰が聴いても違いがすぐに分かったと思いますが、マスタリングはボリューム感だったりと非常に細部の違いなので、リミックスのような誰でも一瞬で分かる音色の違いはありません。

 

ミックスにも通じる話ですが、当然時代が進むと技術の進歩により、過去には実現できなかったクオリティが実現できるもの。

 

そのためブルーハーツや、その他古いロックなどは「最新リマスター」と銘打って何度も同じCDが発売されるのです。

 

ビートルズやストーンズなんて今までリマスターが何枚出ているのか分かりませんね(^^;)

「リスナーも覚えておきたい、別バージョン・リミックス・リマスターの違い」まとめ

ということで、「別バージョン・ミックス・マスタリング」の違いについて説明をしてきました。

 

何となくでもそれぞれの意味を分かってもらえたと思うので、ぜひ意識してブルーハーツ・ハイロウズの音源を聴き直してみると、新たな発見があるはずですよ。

 

また、ヒロトマーシーしかり、アーティストのインタビューでは当たり前のように、こうした専門用語が出てくるので、言葉の意味を知っていると、彼らの言いたいことがより理解でき、楽しめるのは間違いありません。

 

かなりマニアックな世界かもしれませんが、知っているのと知らないのとでは、音楽の聴き方が大きく違ってくるので、興味があればぜひ奥深くまで足を突っ込んでもらえると嬉しいですね。

リスナーも覚えておきたい、別バージョン・リミックス・リマスターの違い 『動画版』