スズキサトシ(@sasa_rhythm)です!
1985年に甲本ヒロトとブルーハーツを結成して以降、ハイロウズ・クロマニヨンズと形を変えながら、日本のロックシーンの前線を走って来た、マーシーこと真島昌利。
大半の人はボーカリストで目立つヒロトに目が行きがちですが、マーシーとヒロトはどっちが上というワケではなく、二人とも”超”が付く天才と言えます。
ファンの間では、「マーシーは天才だ!詩人だ!」とよく言われますが、ありがちな表現でよく分かっていない人も多いのではないでしょうか?
今回はなぜマーシーが天才と言えるのかということについて、ヒロトマーシーファン歴10年以上の管理人が語っていきたいと思います。
また僕はギタリストでもありますので、ギタリストにしか気づけないマーシーの凄さが多々あり、なかなか聞けない面白い話が満載ですよ。
桁外れの文学性
マーシーを語る上でまず真っ先に上がるのは、その文学性です。
メロディが良いのは勿論のこと、マーシーほど美しい詩を書けるロックミュージシャンはまずいません。
そのマーシーの文学性を世に知らしめた作品は、ブルーハーツの『青空』でありますが、詩的に完璧すぎるほどと言えます。
マーシーも憧れていたフォークミュージシャンの「友部正人」という方がいますが、同曲を聴いて「日本にこんな素晴らしい歌を作る人がいるのか」と衝撃を受け、マーシーにコンタクトを取ったのは有名な話。
憧れの人を曲で動かすなど、普通はできることではありません。
ではなぜマーシーがここまで文学的な詩を書けるかというと、ひとえに文学青年だったから、ということが言えます。
真島昌利を徹底解剖!過去から現在まで全てまとめます昔からマーシーを知る人は「よく本を読んでいる頭の良いヤツ」と語っており、常日頃から文章を読む習慣があったそうです。
詳しくは以下の記事で紹介していますが、有名どころでいくと「中原中也」「荻原朔太郎」「サリンジャー」など、日本文学からアメリカのビート文学など、幅広いものを読んでいました。
マーシー(真島昌利)が影響を受けたり歌詞に使った本をまとめてみたとはいえ、本を読んでたら誰しも文学的な詩を書けるかと言えば、そうも言えないところ。
マーシーはよく本の一節・タイトル、実際の人物・物体などを歌詞に引用するのですが、そのセンスがとにかく絶妙なんですよね。
歌詞というのはメロディもあり、歌全体のテーマもありで、微妙なバランスで成り立っているので、引用するというのは簡単なようで、実はものすごく難しいもの。
しかしマーシーが用いる引用は、その言葉があることによって、一気に楽曲の表情が豊かになり、唯一無二の彩りを加えるのです。
この引用のセンスというのは、会得できるものではなく、まさに才能と言えるでしょう。
圧倒的な作曲能力
クロマニヨンズと言えば、毎年アルバムを出してツアーするというのが、恒例の流れとなっています。
なぜ休むことなくこの流れが続けられるかというのは、ヒロトマーシーが日常的に曲を作っており、ストックも大量にあるため、いわゆる曲切れとは一切無縁だから。
マーシーだけでなくヒロトもそうですが、散歩している時や、ぼーっとしている時など、いつでも曲が浮かんで来るそうです。
普通のミュージシャンは、アルバムのための曲作りなんて言いますが、ヒロトマーシーにそんなことはありません。
これを聞くとヒロトマーシーが多作なのはよく分かったと思うのですが、実はヒロト以上にマーシーの方が多作。
ヒロトがラジオ出演した際、「マーシーは多作」と語っており、普通のミュージシャンからすれば多作であるヒロトよりも、はるかにマーシーの方が多作ということです。
しかし、クロマニヨンズとして発表するのはせいぜい年間6曲程度。
実はその裏に膨大な数の楽曲が眠っていることが、容易に想像できます。
末恐ろしいですね。
30年近く音楽活動を続けていたら、曲が出てこなくなるのが普通で、この年になってもなお、曲があふれ出てくるのは、ひとえに才能でしょう。
僕が好きなバンド、コレクターズの加藤さんは「やればやるほど(曲が)書けなくなる」と語っており、むしろこれが普通で、ヒロトマーシーが異常なんです。
参考 ザ・コレクターズ 加藤ひさし&古市コータローが語る、結成から色褪せぬモッズ精神と青春時代の感覚realsound日本最高峰と言えるレベルのロックンロールギター
印象的なギターリフ
ギターリフと言われても、何のことか分からない人の方が多いと思うので、簡単に説明を。
ものすごくざっくりと言うと、「曲のイントロで使われるギターフレーズ」のことです。
ヒロトマーシーの曲でリフが印象的な曲を挙げると、「終わらない歌」「月の爆撃機」「1000のバイオリン」といったところ。
実際に聴いてもらえると、なんとなくリフというものが分かるはず。
それでもってこの項で言いたいのは、マーシーのリフ作りのセンスは、「作曲と同じレベルで神がかっている」ということ。
曲と言うと、歌やメロディ、歌詞などに目が行きがちですが、バンドにおいては、それと同じくらい重要なのがリフ。
聴いただけで耳に残るフレーズを作ったり、曲のイメージにあったリフを作るというのは、本当に至難の業。
しかしマーシーの作るリフというのは、どれも印象的で耳に残るんですよね。
先に挙げた「1000のバイオリン」はブルーハーツを代表する一曲ですけども、このリフは本当に天才的。
コードを細切れにして作った感じのリフですが、曲に完全にマッチする、疾走感溢れる感じは、そうそう出せるものではありません。
こういったリフ作りに関しては、リフがある曲を弾いて自分の中に入れていく、といった感じで身に付く部分もあるでしょうけども、耳に焼き付くリフをここまで産み出しているギタリストは、日本には他にいませんね。
間を取ったブルージィなギターワーク
主にギターソロが顕著ですが、ギターフレーズを聴いただけで、この人が弾いていると分かるものなんですよ。
ギターを演奏する人にしか分からない部分かもしれませんが。
いわばボーカルで言うところの、声ですね。
しかし声と違い、誰が聴いても分かるというレベルにギターで達するのは、並大抵のことではできません。
誰しも始めはコピーから始まり、それを繰り返し自分の曲に落とし込んでいくことで、自分なりのフレーズや、ギターワークというものが生まれてきます。
では本題のマーシーのギターはどんな特徴があるのかと言うと、ひとえに『間』と言えるでしょう。
文章だけではかなり分かりにくいので、動画を交えていきます。
まず初めに間がないギターの例。
このギターが悪いと言ってるのではなく、説明として貼ってるので誤解の無いように(^_^;)
続いてこちらが間のあるギターの例。
曲のテンポの違いはあれど、間のあるなしは、これでなんとなくわかりましたかね?
同じギタリストと言っても、これだけ大きな違いが生まれます。
ではこういった違いはどこから発生するのかというと、影響を受けた音楽によります。
ちなみに先に紹介した動画は、ジャンルで言うところの、メタルとブルースです。
マーシーというのは、もちろんブルースが大好きですし、何よりブルースから派生して生まれたロックンロールを心から愛しています。
過去にコピーしてきた曲というのは、ブルースやロックンロールだったのは容易に想像が付くところで、それゆえに間を取ったギターが弾けるんですね。
こういったギターを弾ける人物は日本ではマーシーくらいであり、先のリフと同様、センスの部分も無きにしもあらず。
それゆえ、ギターのテクニックにおいても天才的と言えるでしょう。
「真島昌利は天才であるという話」まとめ
つらつらと書き連ねて来ましたが、マーシーが天才たる所以を理解いただけましたでしょうか?
本当はまだ語りたいこともありますが、あまりに長くなるので割愛。
ここまでマーシー天才論を述べてきて、こんなことを言うのもなんですが、結局天才かどうかって受け手の主観的な見方になっちゃいますよね。
自分が気に入ったものを沢山作ってくれれば天才になるし、そもそも好きなアーティストじゃなかったら、天才とすらも思わないと言いますか。
ここに書いたのはあくまで僕の意見と言うことで、みなさんなりの天才論や、天才と呼べる人を見つけてくれたらと思います。
最後まで読んでくれた方は、マーシーの天才性が分かったところで、改めて楽曲を聴いてみてもらえると嬉しいですね。