「激動の時代」としばしば表現される昭和。
第二次世界大戦に高度経済成長など、その変化は目まぐるしく、また技術発展に伴い映画も大きく隆盛したと言えます。
この記事ではそんな時代を彩った、名作と言える映画を紹介していきたいと思います。
現代の邦画には無い壮大なテーマのものから、深い気づきを与えてくれるものまで盛りだくさんで、今もなお人の心をうち続ける名作ばかり。
僕自身映画好きで多数の映画を見ているため、その中でも「これは素晴らしい」と思った作品を厳選して紹介していきたいと思います。
ぜひ参考にしていただけますと幸いですね。
昭和のおすすめ映画
羅生門
言わずと知れた日本映画の最高傑作であり、『世界のクロサワ』を世に知らしめた傑作。
芥川龍之介の小説「藪の中」と「羅生門」を原作に、脚色された内容ですが、いやはやその完成度の高さは末恐ろしいですね。
マーティン・スコセッシやアメリカン・ニューシネマなど、その影響は実に広範に及び、世界の映画史を語る上でも欠かせない作品となっています。
「人間の愚かさ」がテーマにあり、その強烈なメッセージ性は今もなお色褪せないものが。
僕自身、黒澤明作品を見るのは初めてで、何気なく見たところ、あまりの内容に呆気に取られ、見事に心を突き刺されました。
今もなお監督が伝説視される理由がよく分かりますので、日本人なら必ず見ておくべき作品と言えるでしょう。
砂の器
松本清張の長編推理小説を原作に制作された、大作映画。
平成元年発表の「日本映画ベスト150」では13位にランクインし、言わずと知れた名作と言えるでしょう。
緻密に練られた巧みなストーリーにぐいぐいと引き込まれ、画面に惹きつけられてしまいましたね。
推理ものが好きな人はもちろんのこと、松本清張好きは必聴。
この映画化も含め幾度となくリメイクされており、原作の完成度の高さ故と言えます。
島根県や秋田県など、壮大な自然美が映し出されるのも魅力的であり、美しい日本も再認識できるはず。
二百三高地
15億円をかけて製作された、日露戦争をテーマに描かれた日本映画の傑作。
実在した名将・乃木将軍に焦点が当てられた内容であり、喜びに溢れた勝利の映画ではなく、血にまみれた現場の悲痛さがリアルに描かれています。
やたらと登場人物が多く、それぞれに物語があることからも、「一人の人間が戦場に行くということはどうゆうことか?」という事を、製作側が伝えたいように感じます。
本作の中心とも言えるシーンは、何度も何度も突撃してほぼ隊員が全滅する場面であり、散々語られて来たところではありますが、戦争における若者の無残な死を認識させられます。
僕自身、随分洋画に傾倒していたのもあり、日本映画の知識はさっぱりでしたが、これは本当に面白かったと心から言える内容。
日露戦争についての知識も、「学校で習ったような・・・」くらいの程度でしたが、事前知識関係無く楽しめるものでありました。
約三時間と超絶ボリューミーな内容ですが、壮絶な物語にあっという間に時間が過ぎ去ること間違い無いですよ。
復讐するは我にあり
実際に起きた「西口彰事件」を題材にした小説を原作に映画化したもの。
連続殺人鬼をリアルに描き出した作品であり、どこか他の人と違う犯人の人間像に、何とも考えさせられます。
どこまで事実に基づいているかという部分について、僕自身も詳細に把握してはいませんが、どのように人格形成されていったのかという描写も細かいです。
89年実施の日本映画ベスト150にもランクインしており、名作として名高いですね。
実際の事件のあったアパートでも撮影しているなど、拘り方が尋常では無く、画面に常に映る物々しい恐ろしさは本作特有のもの。
仁義なき戦いシリーズ
言わずと知れた日本の極道映画の金字塔。
僕も名前は知ってたものの、世代では無いため実際の作品は見ておらず、かねてから邦画にハマってる流れでようやく見たという。
実在のヤクザ「美濃幸三」の手記を原作にした内容であり、その物語の濃さは圧巻。
アクションに重きを置かれたドンパチした男臭い映画というのは苦手だったのですが、この作品はそんな僕でもすっかりのめり込んでしまうほどの面白さでしたね。
ストーリーの面白さも去ることながら、とにかく各キャラクターが濃くて魅力的なのです。
シリーズが5作製作され、その後も新編が続けられるなど、洋画に例えるならばスターウォーズ並の作品の多さであり、それだけ高い人気を現していますね。
09年出版の「オールタイムベスト映画遺産 日本編」でも5位にランクインしてるなど、現代でもなお伝説的な作品として語り継がれています。
映画好きの日本人として、もっと早く見ておくべきだったと、自分自身後悔しましたね。
肉体の門
田村泰次郎の小説を原作とする、戦後の私娼を題材とした映画。
「戦後の闇」という言葉はよく聞くところではありますが、現代ではあまり表に出せないテーマを、ここまで大規模な映画に出来たのは時代感もあるのでしょう。
公開当時、興行的には失敗したそうですか、そうとは思えないほど非常に深いテーマの面白い作品でした。
実際プライムビデオのレビュー評価も高く、好き嫌いが分かれる性質のものかもしれませんね。
創作と言えども、実際にあった社会的事象をテーマにしてますので、改めて戦争が与えた日本への影響を、まざまざと感じさせてくれます。
犬神家の一族
有名な湖で亡くなってるシーンしか知らず、さらにはアニメ「金田一少年の事件簿」で金田一という名前は聞いたことがあるけど、という程度だった僕。
何気無しに見始めたところ、圧倒的な面白さに、空いた口が塞がらない状態でしたね。
というか、勝手にアニメ・漫画作品と関係があると思い込んでいたのですが、全くの別モノなようで、それ故にファンにとっては色々と論議がある部分だそう。
僕自身、アニメも漫画もちゃんと見ていないので、創作の是非について述べる気は無いですが、ひとまず本映画の面白さは群を抜いてますね。
濃厚なミステリー具合が素晴らしく、グイグイと謎に引き込まされてしまいます。
なお本作は幾度となく映像化されており、ここで紹介してるのは伝説と言われる1976年版。
ぜひ昭和史に残る傑作を堪能してみてください。
トラック野郎
「仁義なき戦い」にハマった流れから、菅原文太に興味が湧き、他の主演代表作として手に取った作品。
幼い頃から度々デコトラを目にする機会はあったのですが、その源流がこの映画だったと言うことに、一番驚きを隠せませんでした。
トラック運転手をテーマにした人情映画というのが、ごくごく簡単なあらすじであり、なんとも言えないリアルさが印象に残ります。
かの有名な『男はつらいよ』と対比される事も多いですが、寅さんと異なるのは下ネタや喧嘩と言った激しい描写。
「かもめのジョナサン」のパロディである「やもめのジョナサン」という人物もいたりと、時代感があるのも美しさを感じます。
吉原炎上
事実としての吉原遊郭を初めて取り上げた映画として著名。
暗部と言って良い歴史の側面ですが、風俗史・文化史としても貴重という声もあるほど。
本当にあった出来事かと疑いたくなるほどの、凄惨な風景が展開され、改めて現代に生きている事は幸せであると実感させてくれます。
5人の花魁が主人公であり、各人に深い人間物語が展開される濃厚な内容。
莫大な予算をかけた壮大なセットも、さながらその空間にいるような錯覚を感じさせてくれるほど。
黒い側面も歴史であることには他なりませんから、興味がある方は是非見てみてはどうでしょうか。
戦場のメリークリスマス
言わずと知れた、日本が誇る超の付く有名映画ですが、映画好きを自称しておきながらようやく試聴。
全く予備知識が無い状態で見たのですが、「ビートたけし」「坂本龍一」「デヴィッド・ボウイ」など、名だたる面々が出演してた事にまず驚き。
加えて日本人なら誰でも聴いた事があるあの有名な曲は、坂本龍一による本作のテーマ曲だった事に今更気付かされるという。
そして映画自体も商業映画とは一線を画す、いわゆる芸術映画的な側面のある深い内容が、個人的にツボでありました。
戦争映画でありながら、ただの一つも戦争シーンが無く、女性が一人も出てこないという、特異性の数々。
極め付けにはストーリーの根底に、奇妙な愛というものが流れ、物語の神秘性をさらに際立たせています。
ぜひ死ぬまでに見ておきたい名作と言えるでしょう。
復活の日
日本におけるSF大作映画の筆頭に挙げられる「復活の日」。
殺人ウイルスの脅威により人類滅亡が迫る中、寒さ故にウイルスの危険が唯一無い、各国の南極派遣職員が力を合わせて生き延びようとするというもの。
アメリカ大陸および南極でロケされただけあり、スケール感がハリウッド並でして、圧倒的な映像にひれ伏してしまいます。
監督も深作欣二が手がけるなど、製作陣も大御所ばかりであり、その手の混みようはすざまじいですね。
1980年代当時に大ヒットした作品であり、根強い人気のある内容ではありますが、個人的には面白かったものの、何か一欠けしてる印象が。
とはいえ名作には間違い無いので、日本発とは思えないSF作品をぜひどうぞ。
柳生一族の陰謀
東映が公開当時の豪華スター陣を集めて制作した、いわゆるオールスターキャスト作品であり、時代劇の傑作映画。
自分自身、時代劇にそんなに関心は強く無かったのですが、名作の邦画を掘ってる過程で見つけたので閲覧。
そんな僕でもかなり夢中になって見入ってしまうほど、秀逸な面白い作品でした。
徳川家の家継問題を中心に、史実とフィクションを巧みに織り交ぜた大作であり、争いの模様が克明に描かれます。
とくにタイトルにもあるように、見どころとしては柳生一族の動きであり、圧倒的な戦闘描写は惚れ惚れするカッコ良さ。
ラストには恐ろしい展開も待ち受けてますので、ぜひ固唾を飲んで最後まで物語の行く末を見守って欲しいですね。
男はつらいよ
日本人なら誰でも知ってる、所謂「寅さん」の映画。
僕も昔からタイトルだけは知っており、好きな漫画の一つである『こち亀』でよく取り上げられており接点は多かったものの、10年以上見ずじまい。
たまたまプライムで見かけて見たところ、とにかく面白いのなんので、もっと早く見ておけばと猛烈に後悔しましたね。
勝手なイメージで、寅さんは物優しい人物だと思ってましたが、破天荒な下町人という感じで、完全に両津勘吉がここから来てることを今更認識。
シリーズ一作目は69年公開と、かなり昔ではありますが、平成生まれの自分が見ても色褪せない絶対的な面白さを感じます。
世界最長の映画シリーズとしても知られ、面白く無ければここまで続かないですし、まさに面白さの裏打ちと言えるでしょう。
南極物語
実話を元にした、南極大陸の越冬隊員と樺太犬の愛情を描いた名作。
1980年代の大ヒット作として知られ、僕のように映画は見たことなくても名前だけは知ってる人も多いはず。
実際に南極ロケも行われるなど、映像も群を抜いたリアルさであり、過酷な南極を克明に切り取っています。
主演の高倉健の存在感も圧倒的であり、世間の声に苦しめられる一人の男を痛々しく演じます。
印象的なテーマ曲も幻想的で耳に残りますし、全てにおいて非の打ちどころが無いと言えますね。
97年にもののけ姫に破られるまで、日本における興行収入一位を記録していたなど、普遍的な面白さをぜひ体感してみてください。
冬の華
高倉健主演のヤクザ映画、とは言うもののいわゆるドンパチとは一線を画す、心理描写に重きが置かれた異色作。
「仁義なき戦い」のようなアクションが多いものも面白いのですが、僕個人としてはこうした切り口の内容も非常に好み。
ヤクザであるが故に、遠くから少女を見守る男を描いた内容であり、物語のキーポイントに絵画があるように、芸術性も特異性の一つ。
堅気に戻ろうとするも、そうは問屋が下さず意図せず物事に巻き込まれていく様に、色々と考えさせられるものが。
クールなヤクザ映画と言った様相なので、落ち着いた気分で映画を見たい方はぜひどうぞ。
火宅の人
小説家『檀一雄』の長編作であり遺作の小説を映画化したもの。
私小説の物語とされ、どこまで事実か分からないにせよ、中々に破茶滅茶な生き様が映し出されます。
親友であった太宰治が登場したり、ちょろっと中原中也も出てきたりと、思わず文学好きを惹きつける要素が満載。
緒形拳の演技も圧倒的にすざまじく、先の「復讐するは〜」の演技もあわせて、すざまじい俳優だとリアルタイム世代でない自分は認識したところでした。
浮気モノ的なドロドロした内容ですが、シンプルに面白い作品です。
須崎パラダイス 赤信号
なんとも言えない時代を感じる絵を絶妙に切り取ってると感じる作品。
東京都江東区に実在した赤線地帯「須崎パラダイス」を題材にした小説を映画化したもので、今は無き同地の様子がよく分かります。
貧乏で露頭に迷うカップルがパラダイス近くの料理屋に住み込むところからスタートし、あれやこれやと人間模様が描かれるもの。
赤線を描いた映画としては、先の「肉体の門」などもありますが、こちらの方が戦後かなり時間が経ってからの舞台設定なので、また違った光景が感じられるはず。
個人的には妙にシュールな雰囲気で、こちらの方が好みでしたね。
疑惑
松本清張原作の推理小説の傑作を映画化したもの。
誰が見ても犯人である、夫を保険金目的で巧みに殺害した女が主人公で、物的証拠が無いことから様々な争いが起きるという格好です。
本作で初めて桃井かおりの演技を見ましたが、いやはや圧巻で完全に被疑者の女役に溶け込んでいましたね。
被疑者とその女性弁護士の心理的関係に重きが置かれており、独特な空気感漂うやりとりの数々にハラハラさせられること間違いありません。
同原作者の作品は「砂の器」を見ましたが、個人的にはこちらの方が面白かったかも。
セーラー服と機関銃
名前だけは聞いた事があり、てっきりアイドル映画的な趣きが強いもんだと思い込んでましたが、絶妙な芸術性とのバランスで衝撃を受けました。
薬師丸ひろ子主演の大ヒット作であり、1982年の興行収入一位を記録したほど。
あらすじとしては、ひょんなことからヤクザの組長となる事になった女子高生が、さまざまな異様な事態に巻き込まれていくというもの。
「アメリカン・ニューシネマ」しかり、アーティスティックな趣を孕んだ作品が好みなので、個人的にドツボにハマりましたね。
薬師丸の人気という部分もあったのでしょうが、こうしたテイストの作品が日本でヒットしてたというのが驚きです。
映画好きなら今すぐ見るべき作品の一つでしょう。
水戸黄門
時代劇は全く興味が無かったのですが、誰でも知ってる名作だからと見てみたのが水戸黄門。
とはいえ相当数映画化されており、自分が見たのは1978年版。
古臭いものと決めつけるのは良くなく、改めて見てみるとシンプルに面白い作品と言えるのでは無いでしょうか。
撮影技術がある程度進んでからのカラー作品なので見やすいですし、水戸黄門作品に目を通してみたい方にはオススメです。
時をかける少女
何度も映画化されている邦画の名作中の名作ですが、紹介したいのは1983年の初映画化版。
タイムスリップする能力を身に付けてしまった少女が、色々な人物との出会いや関わりを通して成長していく物語です。
なんとも言えない神秘的な世界観で、美しい画面に虜にされてしまいました。
撮影に使われている広島・尾道の風景がなんとも荘厳で古き良き日本を感じさせるものであり、絶妙に作品にマッチしてるのも見どころ。
全編に漂うノスタルジーが脳に直接伝わるような魅力を感じ、僕はすざまじく好みで、もっと早く見ておけば良かったと後悔したところ。
スローなブギにしてくれ
あらすじが何とも説明しにくい映画ですが、白いムスタングから放り出された少女を拾った青年と、ムスタングを運転していた中年男の奇妙な物語と言ったところ。
何とも狂気的な雰囲気を持った作品であり、根本的な物語の面白さに惹き込まれます。
米軍基地のある東京・福生で撮影されているなど、異世界感も物語の神秘性を高めるのに一役買っていますね。
下手するとごちゃごちゃしてしまうくらい、色々な人物が出てきますが、しっかりと軸を持って進んでいく物語が、完成度の高さを物語っています。
音楽家的な観点でも、テーマソングの3連バラードも映画に絶妙にマッチしてて最高ですね。
「【邦画の名作】心に沁みる昭和のおすすめ映画」まとめ
以上、昭和のおすすめ映画を紹介して来ました。
僕自身、音楽も含めて結構懐古主義的な側面がある人間ではありますが、そうした贔屓目を差し引いても、本当に面白いものばかりだと心から思います。
時代性もあり、今では難しいような表現もあったりしますし、色々な面で強烈な個性を感じられるのが魅力的。
近代的な派手な映画もそれはそれで良いものですが、深い精神性に根ざした昭和映画に、ぜひ舌鼓を打ってみてはどうでしょうか。
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VOD(ビデオ・オン・デ・マンド)で映画を見ると、DVDレンタルよりも圧倒的に安上がりでオススメですよ。
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