スズキサトシ(@sasa_rhythm)です!
日本モッズ界の重鎮『THE COLLECTORS』。
同年代のブルーハーツらが華々しく売れて行く中、順風満帆には行きませんでしたが、地道に活動を続け、2017年3月には結成30年目にして武道館公演を実現させました。
そんなコレクターズの最高傑作で、彼らを語る上で外せないのが、今回紹介する1st『僕はコレクター』です。
大半の曲は前身バンド『THE BIKE』時代からの曲ですが、これでもかという名曲揃い。
いわゆる捨て曲なんて無い、屈指の名アルバムと言えます。
そもそも「スズキサトシなのに、なんでコレクターズを紹介するの?」と思う人もいるかもしれませんが、ヒロトマーシーを語る上で、コレクターズは切り離せない存在。
実はコレクターズのボーカル加藤さんは、ブルーハーツ結成当初、ヒロトマーシーに「ベースを弾いてくれない?」と直談判されているんですよ。
なぜ彼らに繋がりがあったのかというのは、1980年代前半、東京で隆盛していたモッズシーンで、各々バンド活動をしており面識があったから。
加藤さんは前述の「THE BIKE」、ヒロトは「THE COATS」、マーシーは「THE BREAKERS」といった具合ですが、掘り下げて行くと長くなるのでここらで割愛。
そして加藤さんは売れるのは直感で分かっていたにも関わらず、「モッズ」という自分のやりたいことを通したいために、誘いを断ったのです。
売れるものに飛びつかず、あくまで自分のやりたいことを通す、加藤さんの信念のカッコよさが、エピソードから伝わってきますね。
ということで楽曲解説に入っていきましょう。
僕はコレクター 楽曲解説
僕はコレクター
作詞・作曲/加藤ひさし
2019年現在でも、ライブのラストによく演奏される、コレクターズきっての代表曲。
タイトル通りコレクターについて歌ってますが、単に収集家という意味でなく、「好きなあの娘」をコレクションしたい、といった恋愛ソングですね。
視点の切り口が、流石加藤さんと思うところ。
サビで繰り返される「DARI」の意味がはっきりしませんが、画家『サルバドール・ダリ』のことなんでしょうか?
歌を聴かせるシンプルな8ビートのアレンジで、あっという間に聴き終えられますね。
TOO MUCH ROMANTIC!
作詞・作曲/加藤ひさし
僕がコレクターズにハマるきっかけになった一曲。コレクターズでは2番目に好きな曲ですね(笑)
シンプルでキャッチーなメロディと、情景がはっきり浮かぶ切ない歌詞がたまりません。
バイク時代から演奏されている曲で、ほぼアレンジは一緒ですが、どっちのバージョンも最高。
サビ直前の跳ねるようなドラムが、猛烈に気持ち良いんですよねえ。
リンゴ田巻のドラムは改めて最高と思います。
プ・ラ・モ・デ・ル
作詞・作曲/加藤ひさし
思わず踊らずにはいられないモータウン直球ソング。
コレクターズで断トツで好きな曲が『プ・ラ・モ・デ・ル』なんですよねえ。
少年時代が目に浮かんで来るような、楽し気なワードもありながら、なぜか妙に切なくなってきます。
ちなみにこの曲に限らずですが、コレクターズ曲にはアレンジ違いバージョンがいくつかあり、個人的には『The Collecters Complete set』収録の同曲が至高。
1・2・3・4・5・6・7 DAYS A WEEK
作詞・作曲/加藤ひさし
一週間という日常を、自分の夢や人生とかけて歌う名曲。
Aメロの出だしが大好きで、理由は上手く言えませんが、猛烈に心地よいんですよねえ。
同アルバムは、同曲までの1~4曲目までの流れがたまらなく、ここまで聴いたら完全に夢見心地に持っていかれます(笑)
一度サラリーマンになりながらも、やっぱり音楽をやりたいと決心して踏み出した加藤さんのエピソードを知った上で歌詞を見ると、「うつろな喜びはもういらないよ 時間と光る汗 僕の大切な宝物」など考えさせられる一節も多いです。
GO! GO! GO!
作詞・作曲/加藤ひさし
この曲も「1・2・3~」と同じようなメッセージ性がこもってますよね。
どちらかと言うと、こっちの方がストレートな表現。
ぼくらのパパやママが作りあげたレールの上を 歩いて行けば ある程度の幸福は手にはいるさ
という一節は、共感する人も多いはず。
僕は恐竜
作詞・作曲/加藤ひさし
こちらもバイク時代からの曲。
後に音源化されたバイクの解散ライブで、泣きながら同曲を歌ってる加藤さんが印象的です。
少しはっきりしない歌詞ですが、自分を恐竜に例え、昔のことばかりに感傷的に浸ってる様を言いたいんではないかと。
泣いてしまうくらいですから、加藤さんにとって非常に思い入れ深い一曲なんでしょう。
ロボット工場
作詞・作曲/加藤ひさし
ポップな曲ではありますが、詩的にはかなり深いんじゃないかと推測。
やりたくないことをやらされ、毎日同じことを繰り返して生きている様を、ロボットと変わらないと言い、ひいては世界はロボット工場だと言いたいのではないでしょうか。
サビ後ろのドラムパターンがかなり凝っているなと感じるところ。
おかしな顔(ファニー・フェイス)
作詞・作曲/加藤ひさし
シンプルなアレンジの曲が多かったですが、ここで少し違った毛色の曲が登場。
全体的に裏打ちな印象ですね。
歌の内容はタイトル通り顔についてなんですが、自分についてと言うよりは、空想の誰かをイメージしているのでしょうか。
一見で理解できない曲も多いですが、それがまた加藤さんの魅力ですよね。
問題児
作詞・作曲/加藤ひさし
こちらもバイク時代からの曲ですが、タイトルが変更に。
元は「僕は問題児」でした。
リフが印象的で、一瞬で耳に残る心地よさですよね。
バイク時代からこのアレンジなので、三村さんが考えたのでしょうか?
少なくともコータローさんが考えたものではないのは確か。
自分自身が問題児であるとはっきり主張するのがカッコよく、自分が強く投影される加藤さんらしい歌ですね。
恋のカレイドスコープ
作詞・作曲/加藤ひさし
こちらもバイク時代からの曲ですね。
心地よいSus4フレーズから始まるキャッチーさがたまりません。
因みにカレイドスコープとは、英語で万華鏡という意味。
あえて英語にするところに、加藤さんのセンスの良さが出ていますね。
切れ味鋭いギターが、ギタリストなら思わずコピーしたくなること間違いなし。
夢みる君と僕
作詞・作曲/加藤ひさし
アルバム後半のハイライトとも言える曲。
「TOO MUCH ROMANTIC!」と同じような空気感の漂う、切ない恋愛ソングです。
大ヒットした「世界を止めて」もそうですが、切ない恋愛ソングを書かせたら、加藤さんの右に出るソングライターはいないと思うところ。
こちらもバイク時代からの曲ですが、バイクverはイントロがギター入りでアレンジが少し違うのが聴きどころ。
僕の時間機械
作詞・作曲/加藤ひさし
タイムマシーンをテーマにした一曲ですが、こちらも恋愛ソング。
破局した原因があり、それをやり直すためにタイムマシーンを使う、といったストーリーでしょうか。
しかし最終的に「今の僕にできるのは自分の未来を変えることだけさ」と言っており、過去にしがみついてはいけないというメッセージを送っています。
少し賑やかな感じのアレンジも、他の曲と一風変わっていて良いですね。
「【アルバムレビュー】僕はコレクター/THE COLLECTORS」まとめ
以上、コレクターズの大名盤『僕はコレクター』の紹介でした。
改めて聴いてみると本当に良いアルバムなのがよく分かります。
コレクターズはポッドキャストの影響があり、2010年頃から人気に火が付き始めた印象がありますが、なぜ今まで人気が出なかったのだろうかと不思議に思うばかり。
このアルバムが発売されたのが1987年11月なので、まさにバンドブーム真っ盛り。
素晴らしいアルバムなのは言わずもがなですが、なぜ大衆に受け入れられなかったのか疑問です。
当時はインターネットもなく、多くの人に届ける手段が無かったというのもあるでしょうけども、それにしてももっと評価されるべきバンドだなと。
先日公開されたコレクターズの映画『さらば青春の新宿JAM』を見て来たのですが、武道館公演後の楽屋で、加藤さんが疲れ果てソファーに倒れながら言ってた一言が、すごく印象的だったんですよね。
この年になって人気が出るから
セリフはうろ覚えですが、こんな感じの一言を。
過去の苦労していた時期も知ってると、この言葉は本当に重いと感じました。
ということで長々と紹介してきましたが、コレクターズを聴いたことが無い方は、ぜひ1stを手に取ってみて欲しいですね。
ちなみにコレクターズの楽曲は、『amazon music umlimited』で全アルバムが聴けます!
月額780円~と破格のサービスですので、気になる方はこちらの記事を読んでみてくださいね。
どうも、スズキサトシ(@sasa_rhythm)でした。