スズキサトシ(@sasa_rhythm)です!
ブルーハーツとして一時代を築いたヒロトとマーシー。
その影響はすざまじく、「若者の代弁者」というレッテルを張られ、常に何かを求められる状況に飽き飽きしていました。
ベース河ちゃんの宗教問題などもあり、結局ブルーハーツは解散。
そんなヒロトとマーシーが次に結成したバンドが、「THE HIGH-LOWS」です。
ブルーハーツの場合は、ヒロトとマーシーが一緒になって始めた形でしたが、ハイロウズは完全なマーシー主導。
最初にブルーハーツやマーシーのソロ活動でもともと繋がりがあった白井さん、大島さんを誘いました。
その後に調さんが加入し、「ボーカルがいないし、暇そうだったから」という理由でヒロトを誘いメンバーがそろったわけです。
ハイロウズの特徴と言えば、なんと言っても「メッセージ性を極端に無視した楽曲群」と「白井さんのキーボードサウンド」でしょう。
最初の時点で白井さんがメンバーに入っていることで分かるように、バンドサウンドにおけるキーボードの目立たせ方が際立っています。
ブルーハーツ時もサポートでキーボードは弾いてたものの、サポートというのもあり、過度な主張はせずあくまで支えるプレーでした。
しかしハイロウズでは縦横無尽にソロを弾きまくるなど、荒ぶるロックンロールキーボードが本当にたまりません。
ではそんな勢い有り余るハイロウズの、ファーストアルバムについて紹介していきましょう!
THE HIGH-LOWS 楽曲解説
グッドバイ
作詞・作曲/真島昌利
2ndシングルともなった、マーシー作の一曲。
タイトルを見ると分かるように、まさにブルーハーツとの別れを告げるかのような内容。
そしてこれでもかというほどの、単調な歌詞の曲を最初に持ってくるあたり、俺たちはこのスタイルでやっていくんだという、意思表示とも取れますね。
今までありがとう
本当にありがとう
今までありがとう
もうこれでお別れですよ
と高らかに叫ぶこの曲は、「ブルーハーツの終わり」そして「ハイロウズの始まり」を感じずにはいられませんね。
ママミルク
作詞・作曲/真島昌利
例のごとく意味が無い曲ですが、非常にアドリブ性の高い楽曲で、ライブではハイロウズの圧倒的な演奏力を見せつけられます。
ドラムとキーボードだけで最初は始まりますが、途中からヒロトのハーモニカも含め、全ての楽器が入って来るのですが、そのカッコよさといったらもう言葉にできません。
ライブではその時の気分でアドリブを長くしたりしていたので、長い時には15分以上演奏することも。
この曲はハイロウズのラストライブでも演奏されているのですが、既に白井さんは脱退しているため、キーボードが無い状態で演奏しています。
それを聴くとなんとも言えない物足りなさがあり、やっぱり白井さんあってのハイロウズだなと、強く感じるところ。
ミサイルマン
作詞・作曲/甲本ヒロト
ハイロウズのデビューシングル。
デビュー曲はヒロトの曲というルールがあるそうで、例に漏れずヒロト曲です。
ルールと言うより、マーシーが決めたものと雑誌で読んだ記憶がありますが、うろ覚えです。
ごめんなさい(^_^;)
改めて歌詞を見ると、ブルーハーツとのふり幅の大きさがすざまじいですね。
当時のファンがどれだけ衝撃を受けたかがよく分かります。
ファンが最後に耳にしたヒロトの曲と言えば、ブルーハーツのラストアルバム『PAN』に収録されているヒューストンズ時代の曲。
「歩く花」とか聞いたあとに、「ミサイルマン」だと一体どうしたってなりますよね(笑)
BGM
作詞・作曲/甲本ヒロト
基本的にマーシー派の僕ですが、同アルバムに関しては圧倒的にヒロト曲の方が気に入ってます。
たしかに意味の無い曲が大半ではありますが、特定の一節に深い意味を感じずにはいられないんですよね。「BGM」もそんな一曲。
産まれ方? おらしらねえ 死に方は? おらしなねえ 生き方を選ぶときは BGM BGM BGM BGM
「しらねえ」と「しなねえ」をかけて言葉遊びのようになっていますが、「産まれ方も死に方も関係ない、大事なのは生きている時のBGMだ」といったメッセージが込められているように思えます。
しかもサビのメロディラインがいかにもヒロトらしいキャッチーで綺麗なメロディで、毎回ウルッときてしまうんです。
ジュージュー
作詞・作曲/真島昌利
マーシー作のミドルテンポな一曲。
昨日はお金を燃やした 燃えるのが見たかったから
と歌っているように、「ジュージュー」は燃える時の効果音のことですね。
歌詞のテーマ性も皆無で、本当に意味の無い言葉遊び的な曲。
ヒロト以上にマーシーは歌詞の文学性が魅力であり、それゆえに意図的に意味を避けた時のふり幅が目立ちます。
ツイスト
作詞・作曲/甲本ヒロト
個人的には同アルバムで一番好きな曲。
そのまんまツイストをテーマにした曲なんですが、軽快なリズムとビートに乗ったメロディが秀逸で、思わず踊り出したくなります。
twistin! twistin! Oh! ひねって twistin! twistin! Uh!ねじって
というサビがもう最高で、一気に曲の中に吸い込まれますね。
マーシーのギターソロも練り込まれた感じで、いつものロックンロールテイストとはまた違う、ツボを押さえた音合いが絶妙にマッチしてます。
スーパーソニックジェットボーイ
作詞・作曲/真島昌利
3rdシングルとして発表された一曲。
同曲のPVでは、ヒロトがあからさまにローリングストーンズの「ミック・ジャガー」を意識してるのが見どころです(笑)
どうでもいいじゃないか そんな事はどうでも
という歌詞が、まさにハイロウズになったヒロトとマーシーについて、色々と書きたてる音楽評論家たちへの批判とも取れます。
1stアルバムには「日曜日よりの使者」という圧倒的に万人受けする名曲があるにも関わらず、シングルカットしてないあたり、ヒロトとマーシーが明らかに避けてる意図を感じます(^_^;)
なまけ大臣
作詞・作曲/真島昌利
サビでひたすら「ゴロゴロ」を繰り返す、明らかにメッセージ性を無視した曲。
同アルバムの収録曲を見ても、一貫してマーシーは意味の無い曲しか作っていません。
ハイロウズ自体がマーシー主導だったというのもあり、「意味の無い言葉でやる」という強い意志が見えます。
ブルーハーツ時代『TRAIN-TRAIN』で爆発的に売れた後、世間からの目にかなり悩まされていた時期がマーシーにはあるそうで、代弁者を求められるというのは非常に大きなストレスだったのでしょう。
ヤ・バンバ
作詞・作曲/甲本ヒロト
これまたかなり強烈なヒロト作の一曲。
バンバン ヤバンバ うるせえババア クソババア バンバン ヤバンバ うるせえジジイ クソジジイ
と歌う歌詞に、意味も何もあったもんじゃありません(笑)
ただ滅茶苦茶な言葉を並べながらも、常人とは違うセンスを感じるのは確かであり、隠そうとしても隠せないものを感じるのも確かです。
X線で記念写真を取れ
という一節なんか、ふざけているんでしょうけども、意味深なものを感じずにはいられません。
ビッグ・マシン
作詞・作曲/甲本ヒロト
ヒロト作の下ネタソング。
ハイロウズ以降、度々ヒロトは下ネタソングを作りますが、絶妙な暗喩ぐあいが最高ですね。
オイルとガソリンと 空気が燃えちゃった キューリとサクランボ オイラの遊びぐせ
という歌詞なんて、なんのことを指してるのかすぐに分かります(笑)
「キューリとサクランボ」というのが、いかにもヒロトらしいです。
バナナボートに銀の月に
作詞・作曲/真島昌利
ハイロウズ初のマーシーボーカル曲。
結成の半年くらい前まではソロ活動を精力的に行っており、「空席」「青空」など天才詩人ぶりを猛烈に発揮する曲を歌ってたのが、この豹変ぶりですから、マーシーファンは一体どんな気持ちだったのだろうか(^_^;)
曲調としては、ブルーハーツ時代の『俺は俺の死を死にたい』のような、ミドルテンポのリフを聞かせたロックナンバー。
やはりバンドにおけるマーシーボーカルは、この類の曲調がよく似合います。
しかし意味の無い曲ではあるのですが、マーシーらしい文学さが顔を覗かせる一面もあります。
バナナボートに銀の月に そして君がいてくれれば
という言葉は、なんとも言えない綺麗な光景が浮かびますし、才能は隠しきれないと常々感じるところ。
日曜日よりの使者
作詞・作曲/甲本ヒロト
ハイロウズを代表する人気曲であり、屈指の名作である「日曜日よりの使者」。
「松本人志のことを歌っている」なんて有名な話もありますが、そもそも情報の出どころも不確かですし、この手の逸話は無暗に信用はできませんね。
キーCの3コードだけで作られている楽曲であり、シンプルこそが最強と言う、作曲の本質を見せつけられます。
よく言われることではありますが、ヒロトマーシーがこれだけ簡単な、しかも同じようなコードばかりで、これだけ多くの曲を生み出せるのは、ひとえに才能ということでしょうね。
「日曜日よりの使者」は、まさにそれを体現する曲。
そもそも「日曜日よりの使者」というワードセンスが抜群であり、こんな言葉を産み出せるのはヒロトだけだと思うばかりです。
「【アルバムレビュー】THE HIGH-LOWS/THE HIGH-LOWS」まとめ
ハイロウズの名盤ファーストアルバム『THE HIGH-LOWS』を紹介してきました。
バンドが違えど、ヒロトマーシーのファーストに共通するのは圧倒的な疾走感ですよね。
たしかにブルーハーツとは打って変わって「意味」を捨て去りましたが、聴けばすぐに分かるように、珠玉のロックンロールアルバムということに変わりはありません。
意味を捨て去ったことによって、ハイロウズでしばらく離れてしまったファンも多くいます。
しかしそれ以上にキーボードが入った重厚なバンドサウンドは日本ではハイロウズのみ故に、新たなファンも獲得しました。
ブルーハーツが大好きな故に離れてしまったファンの多くも、4thアルバム『バームクーヘン』で戻ってきており、結果的にブルーハーツ以上に支持されたと言っても過言ではないでしょう。
そんなハイロウズの軌跡を辿る上で欠かせないファーストアルバム、ぜひ堪能してもらいたいですね。