スズキサトシ(@sasa_rhythm)です!
ブルーハーツの伝説的1stアルバム『THE BLUE HEARTS』。
85年1月の結成から2年ちょっと、インディーズでも絶大な人気を誇り、勢いそのままデビューした彼らの熱気がこもった作品です。
その疾走感たるや素晴らしく、30分があっという間にすぎる、日本のロック史に残る大名盤と言っても過言ではありません。
初めて出すメジャーでのアルバムですから、力が入るのは当然で、まさに選りすぐりの12曲が収録。
いわゆる捨て曲が一切無く、全ての楽曲のクオリティがすざまじいです。
もちろん自分はまだ生まれておらず、後から遡って聴いたわけですが、このインパクトたるや、当時の社会に与えた影響が大きかったのは、想像に容易いですね。
その後どんどんと規模が大きくなり、同作も含め、合計8枚のアルバムを出すことになるわけですが、アルバムとしての完成度は、間違いなく同作が一番。
『TRAIN-TRAIN』、『STICK OUT』、『DUG OUT』、などブルーハーツには名盤が数多くありますが、初期衝動という意味で、1stを超えるアルバムは無いと断言できます。
では早速楽曲解説に入っていきましょう。
THE BLUE HEARTS 楽曲解説
未来は僕等の手の中
作詞・作曲/真島昌利
「未来は自分たちの手でつかめる」という熱いメッセージが込められた、マーシー作の一曲。
パンクアレンジがカッコよく、パンクお決まりのパワーコード半音移動フレーズや、コード感溢れるギターソロなど、聴きどころ満載。
マーシーの詩的さも前面に出てるのが最高で、中原中也の詩から引用した「銀紙の星」という一節もあり。
ヒロトと違い、マーシーは借用をよく用いるのですが、持ってくるセンスが並外れてるんですよね。
終わらない歌
作詞・作曲/真島昌利
ブルーハーツ屈指の人気曲のひとつ。
「世の中で虐げられている人の為に、終わらない歌を歌うんだ」というメッセージは珠玉。
ブルーハーツ初期曲の大半は、マーシーが福生隠居時代に作ったと言われてますが、まさにそんな雰囲気を感じますよね。
自分がギターをやるようになって初めて理解しましたが、Aメロのギターがめちゃくちゃ凝ってるんですよ。
ヒントを得た曲があるのか分かりませんが、このアレンジは流石です。
NO NO NO
作詞・作曲/ 甲本ヒロト
この曲と「少年の詩」は、ブルーハーツ以前にヒロトが組んでいたモッズバンド『THE COATS』時代の楽曲。
基本的にヒロトは前バンドで演奏した曲をやりたがらないのですが、マーシーの説得により、折れたそうです。
「政治的なくだらないことなんて笑い飛ばしてやる」といったメッセージが込められた一曲ですが、シンプルで心に突き刺すヒロトの言葉は流石。
パンク・ロック
作詞・作曲/甲本ヒロト
スローテンポで唸るように歌われる、パンクロックへの熱い想いを歌った一曲。
「吐き気がするだろ みんな嫌いだろ」って言い切り、「それでも僕はパンクロックが大好きなんだ」という主張が泣けるんですよね。
基本ダウンストローク一辺倒で弾いてる感じのギターですが、要所にピックスクラッチを入れてたりと、凝った後が伺えます。
街
作詞・作曲/甲本ヒロト
「街」という言葉は歌詞中に一切出てきませんが、「仲間と出会える街がある」という内容に思えます。
楽器陣が全員ぴったりハマるアレンジで、聴いていて気持ち良いですね。
命のある限り 忘れてはいけない 今しか僕にしか できないことがある
という最後の一節が最高で、挑戦する人生を歩まなければと、強く感じさせてくれます。
少年の詩
作詞・作曲/甲本ヒロト
「NO NO NO」同様、コーツ時代の楽曲。
ブルーハーツを代表する人気曲にもなっている「少年の詩」ですが、ヒロトらしいシンプルで熱いメッセージが突き刺さりますね。
「ナイフを持って立ってた」というのはある種の比喩表現だと思うところであり、「自分がやるべきことに気づいた」とか、「戦う決心をした」といった意味があるでしょう。
間接的にナイフと言うあたりが、本当にカッコいいですね。
爆弾が落っこちる時
作詞・作曲/真島昌利
「爆弾が落っこちる時」というのは、「政治で大きな決定がされる時」や、「偉い人が発言する時」など、色んな意味合いを含んでいるように思えます。
ちなみにブレイカーズ後期のマーシーのMCで、「爆弾が落っこちる時に~」みたいな発言があるので、その頃から歌詞の内容はマーシーの中にあったでしょう。
リフ部分での、ドラムのタム回しがカッコよく、ドラマーなら叩きたくなること間違いなし。
世界のまん中
作詞・作曲/甲本ヒロト
同アルバムのヒロト曲では、かなり好きな一曲。
「世界の片隅なんて無くて、自分自身がいる場所が世界の真ん中なんだ」というメッセージ性が素晴らしいです。
朝の光が待てなくて 眠れない夜もあった
という出だしの一節が大好きで、これだけで曲の世界に持っていかれますね。
裸の王様
作詞・作曲/真島昌利
知名度のある曲ではないですが、僕が同アルバムのマーシー曲の中で一番好きな曲。
もちろん、童話『裸の王様』をモチーフにしてるのは確かですが、それをこんな楽曲に仕上げるのがまさに天才。
見えなくなるより 笑われていたい 言えなくなるより 怒られていたい
という一節が大好きで、「自分が言いたいことは、はっきり言うべき」という、マーシーの明確な意思が見えます。
ダンス・ナンバー
作詞・作曲/真島昌利
同アルバムにおいて一番短い楽曲。
マーシーのシャウトも入ってきて猛烈にカッコいいですね。
たたでさえ早いテンポが、ライブではさらに早くなり、激しさが振り切れます。
未発表ですが、ミドルテンポでリフの聴いたマーシーボーカルバージョンの方が、個人的に好みです(笑)
君のため
作詞・作曲/真島昌利
マーシー作のブルーハーツを代表するラブソング。
歪み気味のギターで弾かれるアルペジオが心地よく、涙無しには聞けない名曲です。
初期ブルーハーツの頃のマーシーのバラードナンバーは、本当に神がかってるとしか言えないレベル。
ブルーハーツ曲ではないですが、『桑田りん』に提供した「世界中の時計を止めてしまいたい夜」しかり、マーシーの文学性に恍惚になります。
リンダリンダ
作詞・作曲/甲本ヒロト
ブルーハーツを知らない人ですら聴いたことがある、誰しも認める大人気曲『リンダリンダ』。
この曲の衝撃たるや、今更僕が語ることではないですが、「ドブネズミみたいに美しくなりたい」という最初の言葉だけで、脳天をかち割られたような衝撃を受けます。
個人的な話をすると、中学2年の時に『SUPER BEST』で聴いた瞬間に、感動を超えた境地に持っていかれまして、以来取り憑かれた状態(笑)
練習があるのに、「アニメが終わるまで待ってくれ」と言い、ブチ切れたマーシーに自分の熱意を伝えるために書きあげた曲、というのは有名な話。
「【アルバムレビュー】THE BLUE HEARTS/THE BLUE HEARTS」まとめ
以上、ブルーハーツの最高傑作1st『THE BLUE HEARTS』の紹介でした。
改めて聴いてみると楽曲の圧倒的なクオリティもさながら、感動で初めてブルーハーツを聴いた瞬間にタイムスリップさせられる感覚です。
ブルーハーツはメジャーデビューまで2年かかっているものの、インディーズ時代でもどんどん人気を伸ばし、大きなつまづきもなく、順当に成功していきました。
しかしそこに至る過程を語るとなると、ヒロト、マーシーそれぞれの前バンドの話を掘り下げなければいけないのですが、それはまた後日。
また、ブルーハーツのリズム隊は中々固まらなかったこともあり、かなりややこしい変遷に。
詳しくはこちらの記事でまとめてますので、参考にどうぞ。
ということでブルーハーツが好きならば、聴いてないと異常と言えるほどの名盤なので、ぜひきちんと聴いてもらいたい作品ですね。