行きつけのギターリペアの店主さんにオススメされたのをきっかけに、グリン・ジョンズの『サウンドマン』を読みました。
個人的には製作技法的な話に結構期待してた部分があったのですが、むしろ知られざるロック秘話集的な側面が強いです。
むしろそうじゃないと需要が少ないでしょうから、当然と言えば当然なんですが(笑)
- ローリングストーンズ、レッドツェッペリン、ビートルズ など60年代ロックが好き
という人におすすめの内容と言えます。
特にストーンズの話がボリューム的には一番多いように感じたので、ストーンズファンは必見でしょう。
グリン・ジョンズ/サウンド・マン
あらすじ
グリンジョンズの半生を振り返りながら、エンジニア・プロデューサーとして携わってきたアーティストとの秘話がふんだんに詰め込まれた内容です。
特にストーンズとの仕事で有名で、かつイワン・スチュワードと同居していた経験もあることから、ストーンズ話が盛りだくさんです。
ざっくりの流れとしてはこんな感じ。
生い立ちからエンジニアになるまで
↓
年代・アーティストごとにエピソードが延々と綴られる
興味のあるアーティストの項から読んでみるのも面白いですね。
登場するミュージシャンは膨大かつ重要な人物ばかりであり、どれも読み流せませんが。
特徴・感想
ストーンズの名盤に隠された秘話が明かされる
『ベカーズ・バンケット』『レット・イット・ブリード』『スティッキー・フィンガーズ』『メインストリートのならず者』といった、ストーンズの黄金期の作品においてエンジニアを手掛けたのがジョンズ。
それぞれの作品についてのエピソードもふんだんに明かされ、ファンなら感涙ものの内容ですね。
先ほども書いたように、イワン・スチュワートと昔同居していたほど、メンバーとは近しい関係であり、彼だからこそ話せるエピソードは興味深いものばかり。
個人的には、イワンがストーンズのデビュー時に解雇された事について、イワンにとってはとてつもないショックだったろうと思ってたのですが、寧ろその逆だったのにビックリしました。
60ー70年代のロック史について発見がある
ストーンズ以外にも、レッドツェッペリン、ビートルズ、ボブディランなどなど、キリがないほど重要なアーティストが登場します。
今まで誰にも知られていなかったエピソードも明かされたりと、ロック史に興味がある方はぜひ読んでおきたい内容でしょう。
巻末の解説に書かれている、以下の一文を読めば、この本を今すぐ読みたくなる事間違い無いです。
ディランがビートルズとストーンズに対してコラボ構想を間接的に打診したと書いたものは、他に無い。60年代から70年代のロックの熱心なファンなら、この一点だけで本書の価値が分かるはずだ。
エンジニアなど制作に携わる人も学びが得られる
エンジニアリングをやる人にはお馴染みの「グリン・ジョンズ」テクニック。
言うなればマイク3本でドラムのレコーディングする手法なのですが、その方法で数々の名盤のロックンロールサウンドを作って来ました。
自身の手法がもてはやされ、それを解説する人が多数いる事にも言及しており、非常に勉強になる発言も見られます。
「距離を測る人までいるが、そんなことはしたことが無い」の一言には笑いました。
『あくまで音の良い場所にマイクを置く』という、ごくごく基本的な事を突き詰めるのが、良いサウンドを作る源というのを感じさせてくれますね。
「【音楽本レビュー】グリン・ジョンズ/サウンド・マン」まとめ
ということで、グリン・ジョンズのサウンドマンをざざっとレビューしてきました。
60ー70年代ロック好きはもとより、レコーディング手法に関心がある方も読むと楽しめるのは間違いありません。
自分はストーンズを前作丁寧に聴き込んでいたワケでは無かったので、若干着いていけない部分もありましたが、それでも十分楽しめました。
この機会にストーンズを聴き込み、またいずれ読み直したいなあと思うところです。