スズキサトシ(@sasa_rhythm)です!
ハイロウズの6thアルバム『HOTEL TIKI-POTO』。
前作、前々作では、ブルーハーツ以降あえて避けていた、ヒロトマーシーの本物の言葉が帰って来たのが特徴でした。
しかし本作では曲によるところはあるものの、また意味不明な曲が増えたような印象が。
アルバムタイトル的にはコンセプトアルバムのような雰囲気も漂ってますが、いつも通りタイトルは関係なし、様々な曲が入り交じっています。
統一感も無いですし、ベストな1枚として選ぶ人はあまり多くはありません。
とはいえ、ハイロウズを代表する屈指の名曲『十四才』が入ってますし、ラストを飾る『クリーミー』も超絶素晴らしい曲。
作曲において前2枚がマーシーがキレキレだった分、本作はヒロト曲の方が映えていると思うところ。
ちなみに当時のツアーではやたら凝ったグッズが販売され、『アメニティグッズセット』や『陶器、皿』などホテルに因んだものが沢山売られていました(笑)
そういった遊び心があるところが、ヒロトマーシーの良さでもありますよね。
では楽曲紹介に入っていきましょう。
HOTEL TIKI-POTO 楽曲解説
21世紀音頭
作詞・作曲/真島昌利
ヒロトマーシーの曲で、CDで聴くとイマイチだったのに、ライブになると急激に映える曲があったりします。
この曲はまさにその典型で、ライブになると猛烈にカッコよくなるんですよね。
個人的にはヒロトマーシーの全楽曲で、一番ライブで良い方向に変わるのがこの曲だと思うところ(笑)
何故そうなるかというのは、CDでは三味線で弾いてるフレーズを、ライブではギターで弾いてるから。
メチャクチャに唸らせて弾くギターを聴いたら、もうひとたまりもありません。
残念ながら同ツアーはDVDでは発売されておらず、ライブ版が残っていないんですよね。
いつの日か日の目を浴びることを願いましょう。
十四才
作詞・作曲/甲本ヒロト
同アルバムのハイライトと言える名曲で、ハイロウズにおいても代表曲の一つに名を連ねるほど。
小説『かもめのジョナサン』に影響を受けたのが分かり、曲中にもカモメの鳴き声が入ってます。
現実を超えた境地を『リアルよりリアリティ』と表現する、並外れたヒロトの作曲センスに身震いせざるを得ません。
改めてヒロトもマーシーも各々の細かい違いはあれど、人並み外れた言語表現能力を持っていると感じるところ。
2人の天才を引き合わせた神様に感謝ですね。
ちなみに同曲はシングルカットされてますが、アルバムはアレンジ違い。
フェードアウトか完奏かという微々たる違いですが、気になる方は『flip flop2』でシングル版が聴けますよ。
迷路
作詞・作曲/甲本ヒロト
『人生』が主眼に置かれている曲で、迷いながらも進んでいるから、自分の歩いた後は『迷路』である、といった内容。
サウンド的にはキーボードが前面に出されており、ギター音が目立たず、あまりハイロウズっぽさというのが感じられません。
『十四才』の後なので、余計にインパクトの薄さを感じてしまいますが、良い曲であることは確か。
ニューヨーク
作詞・作曲/真島昌利
こちらもシングルカットされた一曲。
タイトル通りニューヨークをテーマにした一曲ですが、全体的に歌詞がフワッとしている印象。
ジョンレノンが殺された場所として有名なダコタハウスも登場したりするものの、ややいつもの言葉の切れ味が足りない感じは否めません。
シッパイマン
作詞・作曲/甲本ヒロト
ヒロトマーシー史上初?かもしれないカズーが入ってる曲。
シッパイマンと繰り返されますが、歌詞を紐解くと、ここでの意味はサラリーマンが近いと感じるところ。
カバンやズボンのくだりなんか、まさにそうですよね。
『悔いのない安定した道を選んだけど後悔を繰り返す』という風に最後の一節を読み取ることができ、悔いと後悔を違う言葉として扱うあたりが、常人とは違うセンスを感じますね。
恋のダイナマイトダンス
作詞・作曲/甲本ヒロト
スパニッシュな雰囲気のギターから始まる一曲。
しかし楽曲全体を通しては、ギターがほぼ入っておらず、ベースとキーボードが前面に出ています。
迷路もそうでしたが、本作ではギターの主張がほぼ無いんですよね。
妙なアレンジの曲が多く、ヒロトマーシーらしいギターサウンドが鳴り響くロックンロールが少ないということで、ちょっと苦手。
海雲台ブルー
作詞・作曲/真島昌利
タイトルは韓国の地名で『ヘウンデ』と読みます。
ハイロウズか個人かは忘れましたが、マーシーが韓国に行ってインスピレーションを受けて作った曲。
『焼き肉言うほど旨くない』『熱海によく似た観光地』など言いたい放題なのが面白いですね(笑)
曲のおふざけ感とは異なり、サウンドは切れ味するどいギターサウンドなのが、カッコよさを創出しています。
よろこびの歌
作詞・作曲/真島昌利
改めて聴いてみると、マーシーの詩人の顔が見える、良い雰囲気の曲と感じます。
歌詞がかなり抽象的ですが、マーシーが散歩好きなことと、ふとした瞬間に曲が浮かんで来ることを考えると、『夜に散歩しながら、曲が浮かんできた光景』と考えると妙にしっくりきます。
バンドが無いとほぼ家に引きこもっているという、一人が好きなマーシーですが、まさに一人でいたいというのが、ひしひしと伝わってきますね。
カレーうどん
作詞・作曲/真島昌利
ソロ作品で『カレーライスにゃかなわない』という曲を作るほど、カレーが大好きで有名なマーシーですが、「カレーうどん」という変化球もイケるんだな、というのが発覚した曲(笑)
歌詞の内容を紐解くと、「カレーうどん」を作る曲というより、体調が悪くうなされており、そんな時に「カレーうどん」が食べたくなっている、といった感じ。
むしろ本当はカレーライスを食べたいけど、具合が悪いから消化の良いうどんにした方が、ご飯よりもいいと考えたのだろうかと、考えることもできますね(^_^;)
コスモス
作詞・作曲/真島昌利
ギターとハーモニカの絡みから始まり、本命のハイロウズサウンドがようやく来たかといった印象。
ただ歌詞の内容はかなり難解で、何のことを歌ってるのかマーシーしか分からないんじゃないかという気が。
ここでいうところのコスモスが何を指してるのか、歌詞全体を見渡してもイマイチよく分からないんですよね。
まあ細かいことは考えず、カッコイイ曲なので純粋に心踊らせておけばいいのかなと。
フルコート
作詞・作曲/甲本ヒロト
ヒロトの趣味の一つである、『バスケットボール』をテーマにした一曲。
甲本ヒロトの趣味を徹底解説!バイク・アニメ・昆虫採集・スポーツetcについてヒロトマーシーが作る応援ソングは本当に天下一品と言えるほど。
『奇跡なんかじゃないんだよ 待ってたんじゃダメなんだよ』って一節が、すごく当たり前の言葉なのに胸に突き刺さるんですよね。
軽快でキャッチーなメロディといい、一瞬で耳に残ること間違いありません。
天国野郎ナンバーワン
作詞・作曲/真島昌利
間寛平に提供した曲をセルフカバーした格好。
元々は『天国野郎』というタイトルでしたが、おそらく権利関係の問題でタイトルにナンバーワンが追加に。
シンプルな8ビートのロックンロールナンバーで、気持ちの良い一曲。
『天国よりも今生きてる瞬間が楽しいんだ』といったメッセージを感じることができ、切り口は違えど、アルバム『バームクーヘン』収録の『死人』と同じメッセージ性を感じます。
アダムスキー
作詞・作曲/甲本ヒロト
さながらエルモア・ジェイムスのような歪ませたスライドギターが印象的な曲。
歌詞の内容的にはバイクかオートバイの曲に思えるのですが、『アダムスキー』という名前の車種は調べても出てこないんですよねえ。
と思ったら『ジョージ・アダムスキー』という有名なUFO研究家がおり、彼が撮影したと言われているUFOの形状が『アダムスキー型』という名称だそう。
つまりこのUFOをバイクで追いかけている様と考えると、合点がいく気が。
オカルト的なものはヒロトも好きそうですし、たぶんそんな歌でしょう。
クリーミー
作詞・作曲/甲本ヒロト
B面のハイライトとも言える曲で、同アルバムにおいては十四才に次ぐ名曲と思っています。
フワッとした抽象的な歌詞なんですが、メロディの感じといい妙に泣けてくるんですよねえ。
歌詞中に『夜』というワードがあることから考えて、月明かりや、月そのものを『クリーミー』と表現しているのではないかと思いますね。
ギターソロも超絶なロックンロールフレーズ満載でたまりません。
「【アルバムレビュー】HOTEL TIKI-POTO/THE HIGH-LOWS」まとめ
6thアルバム『HOTEL TIKI-POTO』の紹介でした。
アレンジが特殊な曲が多く、正直かなり好みの分かれるアルバムだと思います。
個人的にはあまり聴き返さないアルバムですが、むしろこの感じが好きな人もいることでしょう。
とはいえアルバムにしか収録されていない曲としては、『クリーミー』『コスモス』『天国野郎ナンバーワン』あたりは必聴曲だと感じますので、ファンならばしっかりと聴いておきたい作品ですね。
アレンジの特殊な曲の感じは、次作『angel beetle』になっても続きますが、マスタリングしているボブ・ラディックの音合いの好みも、少なからず完成品に影響を与えているんじゃないかと思うところ。
強くオススメというのはできませんが、持っておいた方がいいアルバムとは言えるでしょう。