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【アルバムレビュー】GUMBO INFERNO/ザ・クロマニヨンズ

スズキサトシ(@sasa_rhythm)です!

 

2019年2月時点、「直近に発売されたもので一番好きなアルバムは?」と聞かれると、答えは『GUMBO INFERNO』。
クロマニヨンズ早8枚目となる本作ですが、妙に切ない曲が多く、名盤と挙げる人も多い作品です。

 

シングルカットされた「キスまでいける」もミドルテンポでキャッチーなナンバーで人気ですが、このアルバムのハイライトはラストの「孤独の化身」。
「孤独・別れ」をテーマにしたかのようなこの曲は、当時、物議を醸し出す要因に。

 

「別れの曲を収録したアルバム」&「タワレコ抽選ライブ」が実施され、抽選ライブというのがさながら「ハイロウズ時代のサンダーロード・アー・ゴー」のようで、解散するのでは、という噂が立ちました。結局それはファンの勝手な憶測にすぎず、今もなお休むことなく12年続いていますからね。

 

そんなバックグラウンドがありつつも、アルバムは本当にかなりの名曲揃い。
いつものヒロトマーシーらしい珠玉の表現が数々飛び出しますので、じっくり聴いていただきたいですね。

 

では、楽曲紹介に入っていきましょう。

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GUMBO INFERNO /ザ・クロマニヨンズ 楽曲解説

旅立ちはネアンデルタール

作詞・作曲/真島昌利

 

印象的なリフが頭に残る一曲。
タイトルだけ見るとふざけた感じの曲に思えますが、ところがどっこい、素晴らしい名曲と言えます。

 

「ネアンデルタール人」について歌っており、まさにクロマニヨンズにはピッタリ。
ネアンデルタール人の骨が発見された「ネアンデルの谷」が出てきたり、マーシーの博識ぶりも見えます。

 

サビのハモリを加えたメロディが秀逸で、この曲でアルバムが始まるあたり、名盤である予感を感じざるにはいられません。

流行りのクルマ

作詞・作曲/真島昌利

 

個性も何もない、似たような車ばかり溢れる社会の現状を皮肉った歌。
年齢的にもマーシーは車への憧れが強い世代なので、強い憤りを感じるのでしょう。

 

クロマニヨンズでは直接的な社会批判的な曲が少ないので、こういった曲を聴けると非常に嬉しいですね。
当時、雑誌のインタビューで、マーシーが車を買いに行ったことがきっかけと読んだ気が。

 

曲中に「ブッブー」という部分がありますが、レコーディングの際、最初にヒロトに歌わせたら、勢いよく「ブッブー」と言いすぎて、マーシーに強く歌わないでくれと言われたとか(笑)
曲の内容的にも、けだるい感じを出すのがピッタリですもんね。

ウォルターに一撃!

作詞・作曲/甲本ヒロト

 

ブルースのハーモニカ奏者「リトル・ウォルター」について歌った一曲。
とにかくブルースが大好きなヒロトらしいテーマですね。

 

当然、曲中にはふんだんにハーモニカが散りばめられており、ブルースフィーリングなフレーズが最高。

 

噛みついて笑う

傷だらけのまま 踊ってる

 

などと言った表現がカッコよく、表現の的確さが流石。

スパーク!

作詞・作曲/真島昌利

 

またちょっと意味不明方向に行っちゃた感じの曲。
冒頭2曲が神がかっていたので、多少こんな感じもあるだろうな、と思うところ。

 

言葉数も少ない楽曲ではありますが、ツボを抑えたギターソロなど、聴きどころは満載。

ダイナマイト・ブルース

作詞・作曲/甲本ヒロト

 

裏打ちが強いリズムの感じが非常に特殊で、クロマニヨンズでは唯一な感じの印象。
タイトルには「ブルース」とありますが、一般的な12小節3コードからは外れます。

 

ブルース感溢れるハーモニカが入っていたりと、そういった意味でタイトルはピッタリ。

 

歌詞が下ネタチックなところもあり、個性が強い一曲ですね。

ルル

作詞・作曲/甲本ヒロト

 

「ルル」というのが何を指しているのか定かではありませんが、神秘的で独創的な歌詞に惹かれます。

 

ハーモニカもいつものブルースフィーリングとは違ったエフェクトが掛けられており、雰囲気を増長させていますね。
ディレイを効かせたギターもポイント。

 

「三面鏡」というのが物語を紐解く鍵になりそうですが、なかなか掴めないんですよねえ。

原始力自転車

作詞・作曲/真島昌利

 

クールな感じの一曲ですが、全体的に意味がはっきりしません。
「金色の血しぶき」という言葉が繰り返され、単語の節々にマーシーの血潮が感じられます。

 

「シャンララウー」というコーラスも耳に残る感じで、アレンジが凝られているのも魅力。
自転車ソングと言えば、同じくマーシー作曲の『自転車リンリンリン』がありますが、遥かにこっちの方がカッコイイですね。

犬の夢

作詞・作曲/甲本ヒロト

 

犬の視点で描かれた、アルバム屈指の名曲のひとつ。
歌詞の内容から察するに、飼い主が亡くなったか何かでもう会えなくなり、悲しんでいる犬という感じですね。

 

ここだけ聞くとさながら「忠犬ハチ公」を彷彿とさせる感じですが、そこから持ってきてるかどうかは定かではありません。

 

今夜あなたの夢を見ます

 

という一節が素晴らしく、涙無しには聞けないナンバーと言えます。

B&K

作詞・作曲/真島昌利

 

歌詞を見るとすぐに分かるのですが、「B&K」とは、「便利と危険」という意味。
単純ですが、ものすごく深い言葉だなと強く思いますね。

 

社会というのは常に進化を続け、便利なものって沢山できてきたじゃないですか。
その反面、危険が増えたのも事実で、車が増えたことによって交通事故という危険が増え、インターネットによってプライバシー侵害という危険が増え、といったように、メリットがあればデメリットも必ずあります。

 

あたりまえすぎるから 気づかずに忘れてる わかってるフリをして 知っているフリをして

 

という一節にもあるように、当たり前すぎるが故に見えていないものを伝えてくれる、珠玉の歌と言えますね。

キスまでいける

作詞・作曲/甲本ヒロト

 

同アルバムにおける唯一のシングルカットナンバーですが、ミドルテンポで楽し気な言葉が躍る名曲。
「キスまでいける」というタイトルではありますが、曲全体として伝えたいことは「目標への強い意思」。

 

信じられないことが 起こってしまうのは 世界中誰も 信じられなかったから

 

という一節が猛烈に最高で、信じられないことなんて無くて、「誰も信じて無かっただけなんだ」というメッセージがまさにヒロトらしいです。

 

因みによく間違えられるのですが、セリフ部分は正しくは「バリの日」。
翼よ! あれが巴里の灯だ』という同名映画が由来です。

ドードードドードー

作詞・作曲/真島昌利

 

「ドードー」とは、絶滅した怪鳥のことですが、歌詞の内容的に関連性はありません。
どちらかと言うと「堂々」という言葉をカタカナにして「ドードー」にしている印象を受けますね。

 

蒸気機関車がテーマになっているようで、その走る様が描かれてます。

 

サビは「ドードー」繰り返すだけですが、メロディが泣ける感じでたまらないんですよねえ。

孤独の化身

作詞・作曲/甲本ヒロト

 

同アルバムにおける一番の名曲と言っても過言ではない「孤独の化身」。
「孤独と別れ」がテーマであり、分厚いサウンドと泣けるメロディで歌われたら、心揺さぶられない人はいません。

 

君が一人で行けば 僕も一人で行く 孤独の化身

 

改めて短い言葉で人の心を突き刺すのは、天才的と感じるところ。
意味がはっきりしない言葉もありますが、そのすべてが楽曲に確かな彩りを加えており、まさに完璧と言えるでしょう。

「【アルバムレビュー】GUMBO INFERNO/ザ・クロマニヨンズ」まとめ

8thアルバム『GUMBO INFERNO』の紹介でした。
もう5年も前のアルバムにはなりますが、ここ数年のアルバムでは一番であると強く感じます。

 

なんと言ってもアルバム全体に漂う、ノスタルジックさはクロマニヨンズでは異色な感じもありますが、それが唯一無二のアルバム感を出しているところでもあり。

 

いわゆる名盤と呼ばれるアルバムは、やはりヒロトもマーシーもどちらの曲も良い時なんですよねえ。
片方だけ良くても、アルバムの完成度としては下がるわけで。

 

ということで名盤『ACE ROCKER』からの熱い流れを脈々と次ぐ本作。
ぜひご自身の耳で確かめてもらいたい、珠玉のアルバムですね。

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