スズキサトシ(@sasa_rhythm)です!
かなり評判の悪かった前作『FIRE AGE』から約一年、満を持して発売されたのが4thアルバム『MONDO ROCCIA』です。
同アルバムにおいてシングルカットされてるのはマーシー曲ですが、アルバム全体を見るとヒロト曲の方が光っています。
前作があまりにも微妙だった分、余計に良く感じるのが、嬉しいやら悲しいやらというところ(笑)
この後のツアー「TOUR MONDO ROCCIA’09-’10」では、クロマニヨンズとして初めてライブが映像化され、どんどんとバンドが盛り上がって行く様が見て取れます。
同アルバムはファンの間でも人気の高い一枚で、特にアルバムにしか収録されていない「鉄カブト」、「突然バーン」という2つのヒロト曲はまさに珠玉のナンバー。
ヒロトらしい言葉が突き刺さる、名曲と言えますね。
流石に6thアルバム『ACE ROCKER』には敵いませんが、それでも全体的なクオリティとしては高いので、手に取ってもらいたい一枚。
ということで楽曲紹介に入っていきましょう。
MONDO ROCCIA /ザ・クロマニヨンズ 楽曲解説
ジャングル・ジャミン
作詞・作曲/甲本ヒロト
歌は歌なのですが、どちらかと言うとインスト的な印象が強いナンバー。
印象的なリフ、後ろに入ってくる感じの跳ねる感じのベースなど、演奏を聴いてて楽しくなる要素が満載です。
歌詞的には「ジャングル・ジャミン」言ってるだけですが、それがまた絶妙にマッチして、クロマニヨンズ感を出していていいですね。
歌っぽくない感じで始まるのが、1stみたいなコンセプトアルバム感があって好きです。
グリセリン・クイーン
作詞・作曲/真島昌利
「グリセリン」というのは化学薬品の一種のことですが、「グリセリン・クイーン」と言われても何を指してるのかイマイチ分からないんですよね。
ただシングルカットしただけあって、曲自体は非常にキャッチー。
全編にアコギの音が入っていたりと、全体的にサウンドを落ち着かせている印象を受けます。
生きているうち できることはなんでも グリセリン・クイーン やってしまう 毎秒が伝説
という一節があるように、背中を押すような言葉も魅力の一つですね。
ちなみにライブ演奏される際は、いつものレスポールではなく、水色のストラト(通称・水色くん)で演奏されます。
鉄カブト
作詞・作曲/甲本ヒロト
アルバム随一の名曲と言えるナンバー。
「別れ」がテーマになっており、切なくなる言葉節がたまりません。
命はいい 記憶だけは 守ってくれ 鉄カブト
という一節が素晴らしく、「命よりも記憶が大事なんだ」という姿勢は、常人では思わないところであり、ヒロトの天才性が垣間見えます。
イントロの印象的なギターリフも特徴で、早いフレーズなんですけど、妙に胸に残る感じになってるのが、楽曲の悲し気な雰囲気をより増長させていますね。
フンカー
作詞・作曲/真島昌利
「フンカー」とは、すなわち「噴火」のこと。
火山について歌ってる一曲ですが、とくに深い意味があるわけでもなく、いつも通りの意味不明感が漂っています。
こうゆうのを聴くと、前作の残り香があるなあと感じてしまうところ(^_^;)
とはいえ、ある種のクールダウン的な曲があるからこそ、先の「鉄カブト」のような名曲が映えてくるので、これも必要不可欠なんでしょう。
炭酸
作詞・作曲/甲本ヒロト
あまり目立つ曲ではないですが、個人的にはかなり好きな一曲。
歌詞もリズムも含めて独特な軽快さがたまらず、妙に楽しい気分になって来るんですよねえ。
爆弾でもない 毒ガスでもない 危ないブツを 持ち込んでいる 子供たちにはちょっと 女どもにはどうも もったいねぇ
という歌詞から始まりますが、たかだか炭酸についてこう言い放つとこが、カッコイイと感じるところ。
ジョニークール
作詞・作曲/真島昌利
チャックベリーの「ジョニー・B・グッド」しかり、ロックンロールと切っても切り離せないのが「ジョニー」。
ブルーハーツ時代のインタビューで、「チャックベリー、エディ・コクランをかなりコピーした」とマーシーは語っているだけあり、その影響の濃さは言わずもがな。
2nd『GAVE PARTY』でも東京ジョニーなんて曲がありますね。
意味はよく分からない曲ですが、「ジョニー」って入るだけでカッコいいのがロックンロールそのもの。
ムーンベイビー
作詞・作曲/真島昌利
渋いリフが映えるロック感溢れる一曲。
ギターソロの感じもいかにもなテイストで弾かれており、曲全体の雰囲気は抜群ですが、いかんせん曲の意味ははっきりしません。
ないしょにしとこうぜ 生まれたてのサソリのように
というサビの歌詞が意味不明だったのですが、試しに「サソリの幼虫」をググったら解決。
虫が苦手な人は調べない方がいいですが、サソリの幼虫って、ツルっと白く、月みたいなんですよね。
マーシーがどこでそれを見たのか知りませんが、こうした表現の多様さが流石です。
アウト
作詞・作曲/甲本ヒロト
ベースラインが映えるマイナー調な一曲。
裏打ちなドラムも絶妙にマッチしています。
サビのギターアレンジもリフっぽくてカッコイイんですよねえ。
とはいえ、歌詞の内容的には何に対しての「アウト」なのかよく分かりません。
単語自体がカッコイイですし、意味は無くとも良いのだ、という感じですかね。
酒じじい
作詞・作曲/真島昌利
木琴?の音が入っており、アレンジの感じも一風変わった曲。
内容的には、タイトル通り「酒が好きなじじい」について歌っています。
盆踊り調な「もう一杯 ちょーだいな」の部分が面白く耳に残るところであり、同ツアーのアンコールでは観客がこれを叫んだりしていました。
突然バーン
作詞・作曲/甲本ヒロト
同アルバムにおいては一番好きな曲。
「自分に衝撃が走る瞬間」について歌っており、表現の仕方が流石ヒロトといった感じで最高です。
サビの一回目の「直径30センチでも」はレコードについて言っており、2回目はそのまんんまで、好きな子についてですね。
本当のことは 本当じゃなきゃ 他には何も見えない
という前半部分もたまらないポイント。
短い言葉でここまで共感させられるのは、天才としか言いようがありません。
恋に落ちたら
作詞・作曲/真島昌利
「あのね」の3文字しか歌詞が出てこない一曲(笑)
タイトルが「恋に落ちたら」と言ってるように、恋に落ちたら「あのね」しか出てこない、という意味でしょう。
サビのメロディラインが泣ける感じで、「あのね」しか言ってないのにグッとくるんですよねえ。
マーシーのラブソングと言えば、文学性が前面に出たものが一番魅力ですが、こういった言葉数が無いものも良いと思えます。
エロこそすべて
作詞・作曲/甲本ヒロト
「エロエロ」言ってるだけの意味不明な一曲。
「エロアンドピース」なんて言葉も飛び出して、まさに自由きまま。
ゆったりと聴き込む分にはいいのではないでしょうか。
あえてほのぼのとした感じでアルバムが終わるところが、クロマニヨンズらしいですね。
「【アルバムレビュー】MONDO ROCCIA/ザ・クロマニヨンズ」まとめ
前作『FIRE AGE』を聴くと、これからどうなっていくのだろうかと心配になりましたが、とりあえずアルバムを聴いて一安心といったところでしょうか。
マーシーの切れ味は本作ではまだイマイチなのは否めないですが、ヒロト曲が特に映えてますね。
再三書いてきたように、「鉄カブト」「突然バーン」は珠玉の名曲。
感情を飾らずに出したようなヒロトの言葉は本当に突き刺さりますよねえ。
改めて、彼らの良さは言葉であると強く感じるところ。
同アルバムについてはツアーDVDも発売されてますし、CDとDVDという意味で2度楽しめるのもポイントですね。
ぜひぜひ、併せて手に取ってもらいたい作品。