スズキサトシ(@sasa_rhythm)です!
ヒロト&マーシーのバンドでは過去最長の活動開始13年、現在12枚のアルバムを発表している「ザ・クロマニヨンズ」。
これまで発表したアルバムの中で群を抜いている名盤が、『ACE ROCKER』です。
2012年に発売されたアルバムで、ファンの間でも絶大な人気を誇っており、クロマニヨンズの代表作といっても過言ではありません。
僕がヒロト&マーシーにハマったきっかけはブルーハーツを聴いたことでしたが、好きになった時にはハイロウズも解散し、既にクロマニヨンズに。
たしかにクロマニヨンズもカッコイイのですが、ブルーハーツ・ハイロウズに比べて決定的に何か欠けていることを感じずにはいられませんでした。
ブルーハーツ時代の圧倒的な言葉、そしてハイロウズ時代の破壊的な勢い、何かが足りなかったのです。
しかし『ACE RCKER』を聴いて、ハイロウズ時代で言うところの『バームクーヘン』のような衝撃を受け、ヒロトとマーシーは変わっていないと感じ、涙を流さずにはいられませんでした。
それぐらい衝撃的なアルバムで、クロマニヨンズはほとんど聞き返さない僕でも、『ACE ROCKER』だけは今でも聞き返すのです。
誰もが認めるクロマニヨンズのナンバーワンアルバム『ACE ROCKER』。
ぜひ手に取ってもらい、衝撃を感じてもらえれば嬉しいですね。
ACE ROCKER/ザ・クロマニヨンズ 楽曲解説
他には何も
作詞・作曲/真島昌利
短い言葉で言いたいことを的確に表現するマーシーの言葉選びのセンスは、本当に神業としか言いようがありませんね。
タイトルにもなっている「他には何も」という言葉がサビで繰り返され、もうそれだけで涙腺が緩むのは言うまでもないです。
やらずにいられないことをやるだけなんだ ただそれだけ
という言葉が、まさにマーシーの生き様を現わしてますね。
ハル
作詞・作曲/甲本ヒロト
マイナー調のリフから始まる『ハル』ですが、ブルーハーツさながらの強いメッセージ性を感じるヒロト節炸裂の一曲。
春というのをあえてカタカナにしていることで、楽曲の神秘性や重厚さが増してるのもポイントですね。
細かいところにヒロトのセンスが見え隠れします。
奇跡のように笑う あなたに会えるなら そこにあると決めた 僕の探しものは
という出だしからもうたまりません。
バニシング・ポイント
作詞・作曲/真島昌利
マーシーがよく使うフレーズ、「背骨」が登場する一曲。
前2曲に比べると言葉数が少なく、イメージをしにくい曲ではありますが、統一された曲になっているのは流石マーシーといったところ。
氷 一つ ストーブにのせて 世界中に色が付いていった
とくにここの表現が大好きで、常人には生み出せない表現と言えます。
欲望ジャック
作詞・作曲/甲本ヒロト
個性的なベースラインが耳に残る、ハル同様のマイナー調な一曲。
「LUST FOR ROCKN ROLL」というセリフも印象的です。
「欲望ジャック」が何を指すのかは定かではありませんが、意味が理解できなくとも感動してしまうのがヒロト&マーシーの曲の魔力。
ギタリスト的には間を上手く使ったギターソロも聴きどころですね。
シャイニング
作詞・作曲/真島昌利
あまり賛同する人はいないでしょうけども、僕が同アルバム、ひいてはクロマニヨンズで一番好きなのがこの曲。
ゾクゾクするような、脳内のイメージを湧き立たせるマーシー節がたまらないのです。
僕がマーシーな好きな理由は、なんと言っても圧倒的な詩的な世界観が好きだからなんですよね。
発条切れのヒグラシ あの日の風 入道雲 形容詞など無くても 爆発する 流れ星
ラスト近くのこの歌詞が猛烈に泣けます。
形容詞とは「物事の性質や意味を現わす」ことに用いられる言葉を指しますが、「流れ星という綺麗なものは、言葉で表現せずとも綺麗なんだからそれでいいじゃん」ということを言いたいのかなと思うところ。
このような品詞表現の歌詞への盛り込み方がマーシーは絶妙で、ヒロトには無い魅力なんです。
ボッチ
作詞・作曲/真島昌利
「太陽も、富士山も、三日月も一人ぼっちなんだよ。だから君が一人ぼっちでも気にすることはない」といった感じのメッセージが含まれている曲。
君が一人ぼっちでも気にすることはない、というのは歌詞で明言されておらず、僕の解釈ですがおそらく間違いないでしょう。
明言せずとも言いたいことを伝えられる、というのが、これまたすごいところですよね。
一から十まで説明する歌詞は、陳腐な雰囲気を出しかねません。
聴いた人の想像で補う歌詞の空白を作ることが、ヒロトマーシーの特徴の一つ。
それゆえ多くの人に受け入れられる曲を多数生み出しているのでしょう。
意図せずともこんな歌詞を作れるところが、天才たる所以ですね。
ゴー ゲバ ゴー
作詞・作曲/甲本ヒロト
同アルバムのヒロト曲では、おそらく唯一の本当に意味が無い曲(笑)
「ゴー ゲバ ゴー」という語感の良さから作った、言葉遊び的な曲と言えますね。
ババアの顔面 ゴーゲバゴー
なんて完全にふざけて作ってるとしか思えません(笑)
ギターソロ時にバックで爆発音や、車の音が合成されていたりと遊び心も満載。
細かいことは気にせず踊りたくなる名曲です。
ナンバーワン野郎!
作詞・作曲/真島昌利
カップヌードルのCMでも使われ、シングルカットもされた同アルバムの代表曲の一つ。
「いなせ」という江戸っ子の表現が使われており、マーシーらしい文学表現が顔を覗かせるのもポイントです。
間奏ではヒロトの切れ味鋭いハーモニカが入り、まさにクロマニヨンズらしいロックナンバーと言えるでしょう。
冒頭の「イェーイ」というコール&レスポンスがライブでも盛り上がるポイントであり、必聴の一曲。
雷雨決行
作詞・作曲/甲本ヒロト
ナンバーワン野郎に続き、こちらもシングルカットされた曲。
いかにもヒロトらしいキャッチーなメロディと、真っすぐで熱い歌詞が魅力的です。
合言葉は雷雨決行 嵐に船を出す 引き返すわけにゃいかないぜ 夢が俺たちを見張っている
というサビの歌詞が特に印象的。
雷雨決行の指すところはすなわち「どんな状況でも」といったところでしょうか。
「どんな状況でも諦めずに進まなければならない。夢が自分自身を見ている。」といった解釈をするとスッキリしますね。
目標に向かって日々がんばっている人が聴けば、間違いなく背中を押されることは間違いない名曲です。
49cc
作詞・作曲/甲本ヒロト
僕がクロマニヨンズのヒロト曲で一番好きなのがこの曲。
先に紹介した『シャイニング』がクロマニヨンズのマーシー曲で一番好きと紹介したように、ヒロト・マーシーそれぞれが作ったクロマニヨンズ曲で、一番好きな曲が同アルバムに収録されています。
それだけ僕にとって特別なアルバムですし、個人的な視点を除いても一番人気が高いアルバムなんですよ。
『49cc』に話を戻しますと、良い意味で一番裏切られる曲です(笑)
曲の前半部分がすこし気だるいイマイチぴんと来ない感じで始まるのですが、中盤から雰囲気が一転。
猛烈に泣けるメロディと深い歌詞が突き刺さってくるのです。
今まで何度聴いたか分かりませんが、同じ部分で毎回涙腺が緩むんですよね(笑)
なんにでも どんなものにでも なにか訳が あるかもな
という歌詞が本当に最高で、「全てのものには意味がある」、そう伝えてくれる珠玉の名言です。
歌詞全体を通して見ると一見意味が分からないのですが、メロディ付きでこの部分を聴くと、もうそれだけですべてが分かった感覚がします。
一行だけで曲のイメージを決定付けてしまうほどの、力強い歌詞を書けるのは、やはりヒロトの天賦の才能と感じますね。
ライオンとサンシャイン
作詞・作曲/真島昌利
この曲を含むラスト2曲はあまり好きではないのですが、ここにたどり着くまでが圧倒的な名曲揃いなので、気に入ってない曲も含めて最後まで聴きたくなるのが、アルバムの不思議ですね。
ウエスタン調な駆け抜けるアレンジが特徴ですが、歌詞は意味不明の部類。
イマイチなんのことを言ってるのか分からない歌詞ですが、なにか統一されたイメージは感じます。
まああまりオススメできる曲では無いのですが、アルバム全体を通してこの曲も聴いてもらいたいですね。
メキシコの星
作詞・作曲/甲本ヒロト
ヒロトの趣味のひとつである、プロレスをテーマにした楽曲。
メキシコ語でプロレスは「ルチャリブレ」といい、歌詞中に登場する「ルチャドール」とは、男性のプロレス選手を指します。
サビの締めの歌詞である「エストレージャ・デ・メヒコ」とは、「メキシコの星」という意味であり、タイトル通りの意味合いですね。
楽曲もラテンアメリカっぽくアレンジされており、跳ねるようなリズムが特徴。
ラスト2曲前までは、言葉が前面に出てきたので、このようにホンワカとした楽曲で終わるのが良いのかなと、改めて思いますね。
「【アルバムレビュー】ACE ROCKER/ザ・クロマニヨンズ」まとめ
ということでクロマニヨンズ一番の名盤「ACE ROCKER」の紹介でした。
最新アルバムよりも、デビューアルバムよりも、間違いなく「ACE ROCKER」が最高だと、声を大にして言いたいですね。
ハイロウズまでは聴くけど、クロマニヨンズは全然聞かないという人も多いのですが、騙されたと思ってこれを聴いて欲しいですね。
たぶんクロマニヨンズのイメージが、全く変わりますよ。
かといってクロマニヨンズ全てが良いわけではなく、最新アルバム「レインボーサンダー」もそうですが、いつものお決まりのクロマニヨンズ感が強く、正直あまり良いアルバムとは言えません。
結局のところ、ある意味「ACE ROCKER」だけが浮いているのかな、と思いますね。
ブルーハーツやハイロウズに寄っているという意味で。
とやかく文章を読むよりも、聴いてもらうと、すぐに魅力が伝わりますので、少しでも気になった方はぜひ聴いてもらいたい作品です。